ぼんやりとバスの窓から外を見ていると、
不思議と別の世界に見える時がある。
私はテレビ塔の展望台の上、
冷たい雨にけむる街を見下ろす。
凍りついたビルディングは水のなかに消えて、
燈のともる数えきれないほどの窓が魚群のようにゆらいだ。
展望室はそのまま深海の涯てへと潜る船。
モノレールは海蛇、アドバ...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
ぼんやりとバスの窓から外を見ていると、
不思議と別の世界に見える時がある。
私はテレビ塔の展望台の上、
冷たい雨にけむる街を見下ろす。
凍りついたビルディングは水のなかに消えて、
燈のともる数えきれないほどの窓が魚群のようにゆらいだ。
展望室はそのまま深海の涯てへと潜る船。
モノレールは海蛇、アドバ...
私は彼女のどこが好きかと言えば、
自分の美意識に対して絶対に一歩も譲らない頑固な姿勢が好きなのだ。
極端な話、
その美意識を妥協するか死ぬかどちらかを選べと言われたなら、
きっと彼女はいさぎよく死んでくれそうなそんなきがしてしまう、
一途なところがとても好きだ。
こんなふうに書くと、いくぶん、
私が...
登山を趣味とする友達がお土産を持ってやってきた。
こいつらは普段の生活もミニマリストであるという、
それは「使わない物は持たない、
最小限の道具を最大限に活用する」というものだ。
彼は言う、それがミニマリストの目指すライフスタイルだ。
そもそも野外派ミニマリストたちは山行時の装備をいかに軽くするか、...