Nicotto Town


✪マークは作り話でし


✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし

唐黍

曇っている、さっきまで晴れてたのに。
不思議と草一といると天気が安定しない、
だから雨男なんて呼ぶ奴もいた。
花びらが足元から舞い上がり、
風にはこばれてどこかへ消えてしまった。
散る花はあらたな風を誘い、雲を呼んで、
しだいに日がかげってしまう。
誰もいない座敷で私は花葛をみていた、
草一の祖母が...

>> 続きを読む


あか

この夕焼けのように両手を広げ、

頭まで波のようにかぶろう。

明日という未来を。

>> 続きを読む


シャボン玉

風に吹かれながら、
飛んですぐに壊れて消えていく。
ぎゅっと握りしめたこの手も、
いつかは離れあっという間に遥か彼方。
だけど後悔はしない、
いつだって思いをこめてふくらます。

風はあとからあとから吹いてくるから。

>> 続きを読む


珍客

小雨が降る午后、
悪友がアンテナ付の古いラジオを持ってやってきた。
中庭でそのラジオを聴いていると、
隣の家のネロがやってきた。
ネロは灰色のネコだ、
いくぶん気まぐれで呼んでもこちらにはよってはこない。
勝気そうな緑色の目が印象的で、
光沢のある毛並で若い猫だというのはわかる。
悪友がそのネコの気...

>> 続きを読む


昼の眩しさに瞼を伏せ、
もう一度ゆっくりひらく。
涸れた噴水がひとつある、
落ち葉のたまった水盤に鳥の羽があるのを見つけた。
白い縞もようのある淡藍色の羽だ。
私はそれを本の栞にして、
読みかけの頁に挟んだ。

>> 続きを読む





月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.