計算違い、思いがけないこと。
人生は思った通りには進まない、
幸せと不運。
不幸からも、幸福からも。
まぬがれている人なんていない。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
計算違い、思いがけないこと。
人生は思った通りには進まない、
幸せと不運。
不幸からも、幸福からも。
まぬがれている人なんていない。
人はなぜ最初のいいところを、
忘れてしまうのだろう。
また。
人はなぜ最初の頃のように、
ふるまわなくなるのだろう。
蒸し暑さをさけようと、図書館へ出かけた。
窓をおおう緑が静かに揺れる。
あの子がいた頃、私もここへ週末ごとに通った。
あの子がいた机にさわる、
ひんやりとした感触。
潮騒のような昔、深緑の立方体。
そんな甘酸っぱい想いで。
私は今も迷いながら生きてます。
今確かに鳥の聲が聞こえた。
人気のない舗道を歩いている最中に、
私は不意に口を開き天を仰いだ。
空は澄明な碧ガラスのように見える、
どんよりとした雲が今にも泣きだしそう。
庭園の薔薇の上に水滴を落としてきた、
耳を澄まして今いちど鳥の聲をさがした。