風が見える場所をさがしていたから、ひとつのところに落ち着かず過ごした。水滴を飛び散らせながら車が通る、さっきから降り始めた雨。舟がゆらゆら揺れる上を灰色の雲が流れる、オレンジ色の雲が駆け足で進む。風が見える場所はここではない、風が見える場所を信じているわけではないのに、風が吹くとその方を向いてしまう...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
風が見える場所をさがしていたから、ひとつのところに落ち着かず過ごした。水滴を飛び散らせながら車が通る、さっきから降り始めた雨。舟がゆらゆら揺れる上を灰色の雲が流れる、オレンジ色の雲が駆け足で進む。風が見える場所はここではない、風が見える場所を信じているわけではないのに、風が吹くとその方を向いてしまう...
カルミアの花が咲いている。冬、カルミアの花が咲いたら見に来ると言ったあなた。春になってカルミアの花は咲いたのに、カルミアの花は咲いたのに。
雑誌の付録についていた、プラネタリウム。大きさは野球のボールくらいだろう、部屋の電気を消して楽しんでみた。ぼんやりと燈が点いて見える、こういったものは正確さはあまり重要ではない。ノリでしょ。
草一は絵が好きでよく書いている、幼友達ということもあってよくそばで見ていた。何度か一緒に書いてみたのだが、隣の絵と比べてみると才がないのがはっきりわかる。したがって私はそれから筆をとることはなかったが、画材の買い物にはよくつき合わされた。頻繁に使う赤というとカドミウム系の、クリムソンレーキ(真紅)と...