秋の宝石箱、栗に梨。柿、蜜柑に林檎に葡萄。その色たちが宝石色のように見える。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
暖簾の掛かった小さな舗の戸口をくぐった、ぼんやりひとつ赤燈が点っている。もう店じまいか、それとも完売か。板の間に硝子箱をいくつか並べただけの舗先には誰もいない、ピタリ閉じた唐紙の向こうでかすかに音がした。「いらっしゃいませ」白髪の店主らしき老人が唐紙を開けた。水面のように磨かれた硝子箱の中にある、鶉...
朝起きると少し寒さを感じるようになってきた、今年の冬は寒い日が多いのだろうか。少し家の中は冬支度である。朝はホットコヒーにかわり、いつものようにのんびりとしてる。朝食に夕べの残り物の蒸しリンゴを焼き直して食べる、甘い香りをこれ見よがしに漂わせてる。バナーヌ・シフォンや三日月形のヴァニラ・キュッフェル...
私が好きだと言ったから、あなたは悩んじゃったんだね。あなたは私の彼氏の友達だから、あなたを悩ませてしまった。でも私は、ただあなたを好きだと言いたかっただけで、あなたを困らせるつもりはなかったんだ。あなたは相変わらずあいつを好きで、私のことなんか考えなくていいのょ。私はあなたを好きだってこと、伝えたか...