Nicotto Town


✪マークは作り話でし


✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし

梔子

暇してるからおいでょ、と友人からの誘い。私が暇なのをよくご存じのようで、玄関で迎えてくれたのは太り気味の猫。家の中に入ろうとすると、少し不機嫌そうに笑う。友人の飼い猫はいつもこうして出迎えてくれる、私は慣れっこなので相手にもしないで奥へ。畳の上にゴブラン織りの絨毯と西洋テーブル、いつもながらミスマッ...

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くさぶえ

さらさら流れて草笛は、小さな恋を奏でます。この気弱な私にも恋の花咲くとき、かえりみられない片思い。ひとりぼっちの足元に、咲いてはゆれるすみれ草。青く青くつきぬけて、この夜の空を切りつける。

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浮かぶ

森の中で浮かぶ人、森をとおって浮かぶ人。あっちこっちに浮かんでいる、たくさんのものたち。こっちへ来て、あっちへ行って。さよならを繰り返す。もう次はないのかと思っても、いつでも次はやってくる。 花の中で浮かぶ人、花をとおって浮かぶ人。失ってきたものを取り返そうと、心をこめて歌っても、雨は次々と降ってく...

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月明り

港の見える公園で、ふりむいた時に出会った人は、偶然にも隣のベンチに座ってた人だった。それっきりだったけど、小さな岬の観光客に紛れてしまったのだと思う。やがて霧が出てきて、美しい風景も隠れてしまった。坂道を一歩一歩おりるごとに、思い出は深く沈んでいった。あるべきはずの霧の中の星で人々は変わらずに、私た...

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人魚の夢

それは人魚の夢だった一度だけ泡になればすむこと一度だけ夢をみた後に

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