その彼女は、水玉のワンピースがお気に入りだ。
彼女はポケットからばらけたネックレスの粒をとり出し、
手のひらに乗せた。
べっ甲飴の色をした、少しいびつな球だ。
一粒ずつ色合いが違う、
縞模様が浮かんでいるものもある。
「これ、琥珀の球なの」
地面のずっと深いところから採れる宝石で、
蟻や小鳥の羽が入...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
その彼女は、水玉のワンピースがお気に入りだ。
彼女はポケットからばらけたネックレスの粒をとり出し、
手のひらに乗せた。
べっ甲飴の色をした、少しいびつな球だ。
一粒ずつ色合いが違う、
縞模様が浮かんでいるものもある。
「これ、琥珀の球なの」
地面のずっと深いところから採れる宝石で、
蟻や小鳥の羽が入...
当時はガーデニアって、
何の花のことだか知らなかった。
従妹から聞いてわかったんだけどね、
西洋梔子のことをガーデニアと呼ぶ。
梔子と言えば、梅雨時に甘く匂う花だ。
その夏の香りを真冬にまとわせて、
その従妹はやってくる。
家の中に微かな梔子のコロンの匂いが広がる、
従妹が座っていたソファに近づくと...
私が幼いころ、
母がよく作ってくれた薩摩芋のおやつ。
薩摩芋を煮るのに、
レモン風味をつけて梔子の果をくわえる。
鮮やかな黄色にしあがり、
華やかな気分になる。
たまに食べたくなる、
食欲の秋だ。
「たまには違うところで飲もうょ」後輩が言う。
「飲みませんか」だろう・・・と言う気力もなく、
「あいょ」と空返事。
ネオン輝く裏通りのアーケードには、
怪しげなお店が軒を連ねる。
目に止まった古物商みたいな飲み屋、
「それじゃ・・ここに入る ? 」ちょっと風変わりなお店だ、
「イエッサー隊長」前の店...