自作小説倶楽部3月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2026/03/31 23:02:02
『殺意の微笑』
かつて高名な建築家が設計したという建物は午前の清々しい陽光を高窓から取り込み、集まった人々を照らしていた。ベール越しに周囲を伺いながら花嫁はしずしずと長椅子の間の通路を進む。招待客は花婿の関係者ばかりだ。好奇心もあらわに花嫁を値踏みする者、無関心、敵意。花嫁を迎えるために神父を背に満...
『殺意の微笑』
かつて高名な建築家が設計したという建物は午前の清々しい陽光を高窓から取り込み、集まった人々を照らしていた。ベール越しに周囲を伺いながら花嫁はしずしずと長椅子の間の通路を進む。招待客は花婿の関係者ばかりだ。好奇心もあらわに花嫁を値踏みする者、無関心、敵意。花嫁を迎えるために神父を背に満...
『わたしの悪魔』
【悪魔】1.宗教上 善なる神に敵対する絶対悪2.災いをもたらす悪霊、邪神 日本ではぼんやりしている人間に憑依して心を乱す妖怪を「通り悪魔」、「通り魔」などと呼んでいた。3.悪人に対する罵りの言葉
「悪魔を祓う方法がありませんでしょうか?」探偵社の看板に「不思議現象、オカルト解決実績...
『幻の夜』
「ある人の素性を調べてほしいんです。わたしは世間では不屈の実業家、不死身の男などと呼ばれています。確かに、大学を卒業してすぐに事業を立ち上げたものの失敗し、タチの悪い債権者に追われたこともあった。そこからなんとか立ち直って、十年かけて新たな事業を立ち上げて成功者になった。よくやったと我な...
『遺言騒動』
「あんまりだわ。建物を解体するなんて」興奮する母の声が聞こえた。泣いているのだろう。語尾が震えている。「確かにやりすぎだ。しかし義兄さんたちならやりそうだ。お義父さんも困った遺言をしたものだ」「エドガに残す物が無くなってしまうわ」「それは無いよ。男の子に大半の財産を継がせることになって...
『予知夢』
「あの、すいません」声を掛けられて振り向くと僕より頭ふたつ分低い女の子が僕の顔を見つめた。その表情に失望が混じる。「すいません。人違いでした」「ちょっと待って、君、5日ほどこの神社で人を探しているよね」踵を返そうとする少女を呼び止める。「ごめんなさい」「謝らなくていいよ。怒ってない。何か...