Nicotto Town


日記ダイアリー徒然草


どうでもいいことを書いています

うすのろちゃん(2)

私の落下速度は、とにかく遅い。地面がいつまでも遠いので、沢山の人が私を追い越して行った。皆さんがご存知の通り、落下の加速度gが9.8/m^2より大きいか小さいかで、人間の価値は決まったも同然である。これがもう少しでも速かったら手で空間をかき分けて、みんなの背中を追う気にもなれたのかもしれない。だけど...

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うすのろちゃん(1)

プラットホームの淵に埋め込まれた無数の黄色いつぶつぶのついたタイルについて、思うことがある。先日その整然と並んだ突起に、その1つ1つに、悲しい運命へと向かう宇宙が埋まってることを知ったのだ。僕の頭がおかしくなったと、君は思うかもしれない。或いはそうなのかもしれない、だけどそれはどちらでもいいことであ...

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短編:いやだね (後)

 メールの着信音で目が覚めた。夢だったのかと思うのと同時に、私はまた生き延びることができたのだと思った。朝の五時であり、学校へ行くにはまだ早すぎる。 携帯を確認すると、由香里からだった。「生きてる?」 はぁ、っと呆れたようなため息を着いた。しかしその文面は、なぜか私の心を和ませた。「生きてるよ」 返...

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短編:いやだね (前)

 宇宙人が菌をバラまいた。その菌は私たちを病気にする。その病気に罹ると、ある日眠ったまま死んでしまう。 死体は真っ白な塵になって、跡形もなく消えてしまう。宇宙人の実験だ。私たちは、モルモットになった。
 ふと、扉を開けるのをためらった。ためらってから、結局開けた。 教室の中にいたのは、四人のクラスメ...

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短編:掃除なう

 おはよう。 テレビはもう付かない。電気はもう通っていない。 それでもリビングは日の光でピカピカで、私はもう随分カーテンを使ってないことに気づいた。「今日は掃除をします」 独り言である。この家には、私しかいないのだ。
「だから、もうつかえないんだよ」 コンセントにくっつけても、掃除機は沈黙したままで...

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