仮想劇場『皆が何かしらのKYを背負って』
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/05/18 15:16:56
何とはなく場末の一角を占拠し何とはない人々を眺める日々得るものなんて何もないのにそれでも身を置いて今を省みる
目的を忘れた2羽のカラスは往くあてのない片羽の番ガラス空を飛べたのは上手く歩けないからで決して神々によって優遇されたわけじゃない
欲しいものはいつだって空にあったそれでも空に捨てられるしか...
何とはなく場末の一角を占拠し何とはない人々を眺める日々得るものなんて何もないのにそれでも身を置いて今を省みる
目的を忘れた2羽のカラスは往くあてのない片羽の番ガラス空を飛べたのは上手く歩けないからで決して神々によって優遇されたわけじゃない
欲しいものはいつだって空にあったそれでも空に捨てられるしか...
独りを感じずに済むのならそれでいいと彼は言った本質的な部分はさておき人ごみにまみれながら彼は生きる
心の支えを必要としていたわけでも同じ顔を持つ儚い人を探しているわけでもない自然体で存在するには世界があまりにも眩しすぎたから日陰者の烙印を背負ったほうが幾分も楽だと考えていた
泥水のなかで蓮は純粋な...
相も変わらずチャペルの庇に腰掛けちょっとだけ未来の事を考えている
晴天下の虚空と孤独昨夜の残り香に酔いながら梅雨の訪れを待ちわびる時間アジサイの咲く季節は嫌いじゃない雨はいつだって叙情的だ現実以上の現実として心の在処を映してくれる
何をしたくてこの町にいるのか何を成すためにこの町に残ったかそんな...
鳥の羽ばたきを何度も何度も見てはただ通り過ぎるだけのバスを見送り流れる会話に心奪われることなく詫びた教会で無駄に祈りを飛ばす日々が続く
救いといえば時折出逢う青い猫彼の発する真っすぐなセリフに一時だけでも自分を忘れられる事だ
こう見えて僕は人間観察というものをやった事がない観察したいと思える人に未...
空白の時間を埋めるものはない空白は空白のままで空っぽの人間を演じる相も変わらず前に進まぬ足を持て余しながら言葉ではない何かで心をそこに残したいと思った
邪気や邪念に追われた日々を懐かしいとは言わないもとより後悔しないための旅なのだと自分に言い聞かせている
明かりを落とした部屋にポツポツと蛍火が灯る...