晴れよりも雨が好き。
まるで肌をチリチリと焼くあの焦燥感のような日差しはどうも苦手。
逆に、全てを洗い流すような雨は好き。
私の感情すべてを攫い、自分という器の中身を空っぽにしてくれるようで、なんだか無に孵った気分。
冷たく打つ感覚も、その強さがたまらない。強いけど、優しい。冷たいけど、温かい。
そ...
日日是悪日
晴れよりも雨が好き。
まるで肌をチリチリと焼くあの焦燥感のような日差しはどうも苦手。
逆に、全てを洗い流すような雨は好き。
私の感情すべてを攫い、自分という器の中身を空っぽにしてくれるようで、なんだか無に孵った気分。
冷たく打つ感覚も、その強さがたまらない。強いけど、優しい。冷たいけど、温かい。
そ...
伴侶。いつも一緒にいるって人って意味。
「人生の伴侶」って使えば、それは夫から見れば妻、妻から見れば夫のことを指す。
「愛関係じゃ無ければ長い間の連れ合いのことを〝伴侶〟とは言わないの?」
少し前の話。遅刻ギリギリで学校に登校して席へ着くなり、難しい顔をしながら大股で、親友の瞳がこちらへ来た。...
教室で、机に頬杖つきながら窓の向こうを見ている時。
入浴剤で染めた湯船につかっている時。
夜布団に潜り込み一人きりの時。
まだ見ぬその人を想像する。
その人は黒髪だった。
その人は青い瞳をしていた。
その人は背は私と同じくらい。
その人は、
その人は。
その人は……。...
餓え渇いていた。
求めても手に入らず。
満たされぬ腹。
手に入れたい手に入れたい手に入れたい!
挑発するかのように細められる細い釣り眼。
不似合いな罵倒を紡ぐ肉厚的な口唇。
風に揺れ誘惑してやまない艶のある黒髪。
絹の光沢のなめらかな素肌。
傷を作るためにある桜色の爪。
組むたびに魅了される細く...
「花織と過ごす時間が、七分の二十二時間だったらいいのに」
三年前の冬だったかな。
輝弥は、少し拗ねた顔をして謎の言葉を呟いた。ま、今ではこの意味が分かるけど。
輝弥は高校二年の時から付き合い始めたいわゆるあたしの彼氏で、その日は付き合って二周年という記念すべき日だったから、二人は久しぶりの再会を果...