仮想劇場『共感と共鳴』
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/08/23 11:13:37
物心ついた頃にはもう気が付いちゃった。僕ってほんとの能無しなんだねって。 運動はできないし学力だって全然足らない。椅子にじっとしてはいられないし、いつもソワソワきょろきょろ。 おしゃべりが止まらなくって口にガムテープ貼られたり、ルールを破るから教室から追い出されちゃったり。
友達は僕のことをオ...
物心ついた頃にはもう気が付いちゃった。僕ってほんとの能無しなんだねって。 運動はできないし学力だって全然足らない。椅子にじっとしてはいられないし、いつもソワソワきょろきょろ。 おしゃべりが止まらなくって口にガムテープ貼られたり、ルールを破るから教室から追い出されちゃったり。
友達は僕のことをオ...
長い長い雨が止んで僕の町にも晴れ間が見えた。 濡れたシャツを窓辺に干しながら遠い空をじっと眺め、考えることは大切な貴女の事。
笑うことは考えるよりもずっと簡単。切なさに身を任せることもやはり簡単。 自分らしく素直に生きることに比べれば存外に簡単だ。
今夜も冷えた体をバスタブに沈めながら思う...
通りを歩いてて突然にだよ? バチバチっと目があって電気が奔ってさ(お、僕この人とは分かち合えそう)なんて直感があってお友達になるって話 無いとは言わないけど、まぁまず無いでしょ あったとしてもそれはもう恋と同義だよ? ぐちょぐちょでずるずるの目も当てられない出逢いだよ
とかなんとかいうやりとり...
山間の景色に分厚く積もる灰雲を睨み、恨めしそうな唇でガムを噛んだ。 そして心の中の嘘を剥いでくるみ、味のしなくなったガムと共に吐き出した。
梅雨の空に掛けられたフィルターの中に小さな光の点を見つける。 それがキミであることを僕は知っている。 往々にして現実は僕たちをすれ違いにしたがるが、それで...
相も変わらず似たような日々をローテーションしている。 朝はバス停で今日の瞬きの場所を知り、 誰と話すでもなく教会前の椅子に一人腰掛け、 流れる会話に疲れたら教会のベンチで独り事を呟いている。
そこで物思いにふけるでもなく日常に集中するでもなく。 実生活の隙間を埋めているような感覚。 そして町の...