「契約の龍」(18)
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/05/15 16:24:05
まる三日かけて文献を当たったが、ユーサーの龍がどんな種族に当たるものなのか、を記述した物は、一つも無かった。その外見さえ、明らかにされていない。
大体ユーサーの記録には、二十代の後半に何年か――文献によって、一年から最大十二年――の空白期間があって、龍についての記述はその空白期間の後、突然出て...
ぶろぐ、の、ようなもの。
まる三日かけて文献を当たったが、ユーサーの龍がどんな種族に当たるものなのか、を記述した物は、一つも無かった。その外見さえ、明らかにされていない。
大体ユーサーの記録には、二十代の後半に何年か――文献によって、一年から最大十二年――の空白期間があって、龍についての記述はその空白期間の後、突然出て...
「とにかく、この、どこに隠れているかも分からず、呼んでも返事をしない馬鹿龍を何とかしないといけない」
…ついに「馬鹿龍」呼ばわりだ。
「ところで、この馬鹿龍の素性が何者で、どんな事ができるのか、を私は全然知らない、という事に気づいた」
「…クリス」
「そこで、王国史を徹底的に調べて...
「禁呪」とされる魔法は大きく分けて二種類。
時間を支配するもの。
生命を支配するもの。
なぜこれらが「禁呪」とされるかというと、因果律への関与が大きくなるため、往々にして莫大な魔力を必要とするためである。
例えば、生命を生み出す魔法であるが、――――――
龍族の力をもってし...
泣きじゃくる(ふりをしている)クリスを伴って、図書館へ向かう小径に設置されたベンチに座る。ハンカチを取り出して、手渡してやる。
「ほら、泣きやんで。どこから寵姫、なんて思いついたんだ?」
「…だって…」
ハンカチを顔に押し当てて、俯くクリス。
「国王夫妻には、王子、王女がいないので...
「あ、ナイジェル先輩……とアレク…先輩。変わった取り合わせで」
ナイジェルが横にいるせいで、ようやく俺が上級生に当たることを思い出したらしい。
「丁度いいところへ。今、君の話をしてたとこなんだ」
「……私の?」
「可愛い新入生を独り占めしてるのはずるいぞって」
そんな話、露ほど...