連載 仮想空間のカオス17
- カテゴリ: 自作小説
- 2010/03/24 22:41:01
翔は羽太郎の死に冷静だった。
「羽太郎、ありがとう」
旅立った羽太郎をなでながら、静かに別れを告げた。あっけない別れ方であった。
翔は淡々と受験に臨み、そして合格した。高校生活の準備、入学、新しい高校生活ー翔は感情がまるでないかのように、日々をすごしていた。
無表情な翔を新しいクラスメイトは、クー...
しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください
翔は羽太郎の死に冷静だった。
「羽太郎、ありがとう」
旅立った羽太郎をなでながら、静かに別れを告げた。あっけない別れ方であった。
翔は淡々と受験に臨み、そして合格した。高校生活の準備、入学、新しい高校生活ー翔は感情がまるでないかのように、日々をすごしていた。
無表情な翔を新しいクラスメイトは、クー...
その日、塾はお休みだった。明日からは「直前!集中講座」が始まる。
決戦前の静けさのような日がぽっかりできたーそんな日であった。
自宅学習も思いがけぬほど順調で、一区切りついた。羽太郎の流動食の時間にはまだ早いなぁと思いつつ、鳥かごを見た。
いつのまに春の日差しになっていたのだろう。やさしい光が鳥かご...
時期的にぎりぎりの進路変更。合格ラインぎりぎりの志望校。学校の授業も塾の授業も緊迫度が増していった。自宅での学習は更に苛酷だった。日に日に睡眠時間を削り熾烈なものになっていった。
学習の合間に羽太郎の給餌と排泄補助。
ようやく寝ても、朝、学校に出かける前に羽太郎の世話をする時間が必要だったから、眠く...
誘(いざな)われるがまま、きなこ@のアバターをfの部屋に移動させた翔は、fの部屋の真ん中に置かれた鳥かごを見て確信した。信じられないけれど、fはうたろうだ。
鳥かごは翔とうたろうしかしらない秘密のアイテムだったから。きなこ@の部屋では棚の後ろに隠されていたアイテムだから。
あえて配置して隠しちゃうー...
うたろうが入院した日から一週間、翔は塾を休んで、病院に通った。
うたろうの顔を見るためであったけど、もう一つ大事な訓練があったから。
自力で食べた餌を消化できなくなった鳥を生かすためには流動食を与えるしかない。のどの奥のそのうという
内臓に直接注入するのだ。間違えば、呼吸器官に流動食をいれかねないし...