短編 「闇の家」その2
- カテゴリ: 自作小説
- 2011/08/21 15:16:46
私は、おとうさんが出かける少し前に、静かにドアの横で気配を消して待っていた。いつものように、ドアを細く開け、光の矢から顔をそむけ、固く目をつぶり
「行ってくる」
というおとうさんの声を合図にドアの外に出たのだ。
全身を光の矢が突き刺す。痛みで動けない。うずくまって、絶えず突き刺さる光の矢の痛みをじ...
しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください
私は、おとうさんが出かける少し前に、静かにドアの横で気配を消して待っていた。いつものように、ドアを細く開け、光の矢から顔をそむけ、固く目をつぶり
「行ってくる」
というおとうさんの声を合図にドアの外に出たのだ。
全身を光の矢が突き刺す。痛みで動けない。うずくまって、絶えず突き刺さる光の矢の痛みをじ...
ゴト。おかあさんがおとうさんのコップをテーブルに置いた音だ。
コト。これは、私のコップの音。手をのばし、コップを取るとスープ
を飲む。
ゴトン。おとうさんがスープを飲み終わって、コップを置いた音。
カタカタ、ギシギシ、ガチャ。おとうさんが飲み終わったスープを台所に持って行って、洗物に重ねた音。
ギシ...
どこにでもあるいんこのいる風景である。
陽だまりのかごの中で、二羽のいんこが
のんびりしていた。
「気持がいいね」
「・・・・・・・・・」
「ん?あ、居眠りし・・・ビョッ!」
ばさん!
居眠りでゆらゆらしていたもう一方が、バランスを崩して
止まり木から落ちたのだ。
「びゃあああっ!!」
落ちたいん...
あれは、故郷を離れていつだったろう?
故郷を離れてから、桜の名所といわれる故郷にその時期、帰宅したことがない。いつも葉桜ーたまの帰宅は、普通の木にしか見えぬ時期ばかり。それでも愛おしく感じるのは、自分の感傷にすぎない、と彼女は思うー思っていた。
ある年、真夜中のドライブで渋滞を避けて故郷にたどりつ...
『僕は今日も、ファックスの音を口笛で歌う。
ピョロロ、ピョロロ、ピー、ピャララ、ピャララ、ピャララ、ジー、ピャララ、ジー、ピャララ…
ちょっと以前と違うかも?不安が寄ぎるが、今の100パーセントで、僕はファックス音を歌う。
彼女が寄ってくる。僕のファックス音は愛の歌なのを彼女は知ってい...