結論からいえば、計画は破綻したが、「駆け落ち」自体はうまくいった。
だが、あれをもう一度やれ、と言われたら、二度とごめんだ、と答える。
もう一度やる必要はないでしょ、とエミーリアが答える事が容易に想像されるのが業腹だが。「ところで、「エミーリア」じゃない名前を教えていただけませんか?その格好で...
ぶろぐ、の、ようなもの。
結論からいえば、計画は破綻したが、「駆け落ち」自体はうまくいった。
だが、あれをもう一度やれ、と言われたら、二度とごめんだ、と答える。
もう一度やる必要はないでしょ、とエミーリアが答える事が容易に想像されるのが業腹だが。「ところで、「エミーリア」じゃない名前を教えていただけませんか?その格好で...
「あのー…エミーリア様。これはいったい…何でございましょうか?」
エミーリアの駆け落ち計画を覆せぬまま時は過ぎ、婚儀の方も、あとは一月後に末息子が帰国するのを待つだけ、という段階になっていた。
しかし、どうやら末息子は赴任先でケガだか病気だかを得てしまい、帰国が先延ば...
やっと意識がはっきりしてきて目を開けると、心配そうにこちらを覗き込んでいる顔と目が合う。
「……大丈夫、ですか?」
「………あなたが、普段から、ご自分の性別の事を、お忘れになっている、というのは、良く、判りました」
舌で口の内...
「…ところで、何の計画もなくそんな事を言い出した訳ではありませんよね?でしたら、考え直した方がいいと思いますが」
「え…当てにしちゃ、いけないんですか?」
…まったく、この「お嬢様」ときたら。
「言ってありませんでしたか?私はこの国の事はあまり知らないって...
そうしているうちに、末息子は外国へ赴任し、私はその一連の出来事をすっかり忘れてしまっていた。「約束した事を、覚えておいででしょうか?」
晩秋のある日、庭の越冬作業をしているところへ、声をかけてきた人がいた。逆光になっていて顔は良く見えなかったが、そのたたずまいが醸し出す違和感で、すぐに「彼女」だ...