浩介を送り出した舞子は
「ごめんね、浩介。家が待ってくれないみたいです」
書置きすると、テーブルにそっと置いた。
野球帽をかぶりそのうえからきのうパーカーのフードをかぶってペンキのついた顔を隠した。千円札数枚財布から抜き取ってジーンズのポケットにねじこむと、財布もテーブルに置いた。ここに帰って来た...
しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください
浩介を送り出した舞子は
「ごめんね、浩介。家が待ってくれないみたいです」
書置きすると、テーブルにそっと置いた。
野球帽をかぶりそのうえからきのうパーカーのフードをかぶってペンキのついた顔を隠した。千円札数枚財布から抜き取ってジーンズのポケットにねじこむと、財布もテーブルに置いた。ここに帰って来た...
「そこまで言うなら、とめない」
あきらめたように浩介はソファーに腰をおろした。
「でも、行くのはあさって以降だ」
「今日と明日は、「家」ですごしてしっかる休養すること、いいね?」
完全に主導権を握られている、このまま浩介に身をゆだねることができれば、どんなに幸せだろう…舞子はうなずいた...
「じゃあ、私帰るね」
一通り掃除がすみ、テーブルに飲み終わったコーヒーカップを置くと舞子は立ち上がった。
「馬鹿か、お前」
浩介が舞子の手首をつかむ。
「この状態で、あの「家」にひとりで行く意味がわからない」
「じゃあ、浩介も行く?」
「え?」
一瞬たじろいだ浩介を見計らったように舞子は彼が掴んだ手...
祖母キヨは孫二人を、自宅から通える一番有名な私立高校、そして私立大学へと進学させた。高校も大学もレベルも高いが、授業料も半端でなかったが祖母は二人に選択肢を与えなかった。
高校も大学も、お金だけでなく、それなりの学力も必要な学校であったその学校自体の選択を拒否する選択も余地もなかった。
「高橋家の人...
父、謙介と母、京子が乗っていた車が山道で転落事故を起こしたー二人とも死亡。その知らせが来たのは舞子が十四歳、加奈子十一歳の冬のことだった。
「あんたたちの母親が、殺したのよ」
第一報が警察から入り、ショックを受けながら出て行った祖母が、舞子たちに電話で知らせた最初の言葉は子供が受け止めるにはあまりに...