呪縛の家 その19(修正しました)
- カテゴリ: 自作小説
- 2012/06/05 14:11:24
外の激しい雨と雷の音が、家全体に響き渡っていた。
ドアが開いて加奈子が入って来た。互いに祖母が入り込んだ人格かどうか見極める静かだが張りつめた時間がしばし続いた。お互いの探り合いが終わると、舞子が加奈子の手をぐっと握った。-私を信じてーおとうさん、おかあさん私たちを守ってー舞子は祈った。
更に加奈子...
しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください
外の激しい雨と雷の音が、家全体に響き渡っていた。
ドアが開いて加奈子が入って来た。互いに祖母が入り込んだ人格かどうか見極める静かだが張りつめた時間がしばし続いた。お互いの探り合いが終わると、舞子が加奈子の手をぐっと握った。-私を信じてーおとうさん、おかあさん私たちを守ってー舞子は祈った。
更に加奈子...
雷が近くに落ちた。窓が揺れる。
そして激しい雨が窓を激しく打ち付け、昼間だというのに「家」を闇が覆った。
「今日は抜け駆けしたらダメだぞ」
そう釘を刺したものの、
「はぁい」
答える舞子の笑顔が不自然だった。嫌な予感がする。今舞子を独りにしておけない。家を出たふりをして近くの喫茶店で外を眺めている...
祖母の死後、加奈子は家に引きこもることが多くなった。最低限、大学に通い卒業。
しかし。加奈子は教授が強く推薦するからという案件にも首を縦に振らずに、無職で完全に引きこもって社会と断絶した。
社会なんて私を裏切ってばかりいる、加奈子は思う。精神的な虐待を受けている姉妹を社会は助けてはくれなかった。そ...
インターフォンが木戸孝介の来訪を告げた。イソイソと舞子が玄関に向かっていった。すぐに男と舞子の会話が近づいて来た。
「急に雷と豪雨で、驚いた」
「でも無事着いて安心したわ」
ごく当たり前の会話が、加奈子には、夢の中でさまよってる中でどこからともなくきこえてくる「音」のような感じで、現実感がまるでなか...
その日も雷と豪雨だった。何かが変わるときは必ず雷と激しい雨になるー加奈子は小さくため息をついた。
前日、姉の口から出た言葉に加奈子はショックを受けていた。
「お付き合いしている人がいるの。結婚しようと思っているから、明日、加奈子に会わせたいんだ」
「結婚?結婚って、それって…お姉ちゃん...