【小説】 初恋 その③ 島田君の奥さん
- カテゴリ: 自作小説
- 2025/03/08 09:29:50
――――放課後
「島田の奥さ~ん!元気?」
いつからだっただろう。放課後、たむろしている廊下の端から、私のことをそう呼ぶ中山君がいた。私は中山君のところまで行って、「私は島田君の奥さんじゃありません!」「彼女でもなければ、付き合ってもいません!」って言って怒った。「またまた~、島田の奥さんは怒りん...
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――――放課後
「島田の奥さ~ん!元気?」
いつからだっただろう。放課後、たむろしている廊下の端から、私のことをそう呼ぶ中山君がいた。私は中山君のところまで行って、「私は島田君の奥さんじゃありません!」「彼女でもなければ、付き合ってもいません!」って言って怒った。「またまた~、島田の奥さんは怒りん...
3月14日 早咲きの桜が満開だった。今日は娘の千夏の中学校の卒業式だ。
私は、川崎しずく。38歳。私も24年前、この中学校を卒業した。
「ママ~!萌香ちゃんたちと、プリクラ撮ってから帰るから、先に帰ってて。」「はいはい。あんまり遅くならないようにね。」
娘を見送って、帰ろうとしたら、後ろから、誰か...
――――病院
今日は体育祭なんだなってぼんやり窓の外を見てました。浩平は後夜祭には参加せず、私のところに来てくれました。
「浩平!今日は体育祭で後夜祭もあるから来れないと思ってたけど、来てくれてうれしい。」浩平が優しい瞳で言ってくれました。「湖桃、最近、自分の気持ち、素直に話してくれるようになって...
――――病院
私の部屋は角の一人部屋でした。本当は、精神科への転院を勧められたのですが、遠くになって浩平に会えなくなるのが嫌で、このまま学校の近くのこの病院でお世話になることにしました。面会時間も無理を言って夜の8時までにのばしてもらいました。その代わり、カウンセリングを受けることになりました。小...
――――病院
気が付くと、私は病室のベットに寝かされていました。愛里ちゃんと浅倉さんがいました。「湖桃先輩、大丈夫ですか?」愛里ちゃんが聞いてくれました。私は左手にまかれた包帯を見て、自分のしたことを思い出しました。そして、ひとりぼっちだと...私は、もうどうしていいのかわからなくなりました。涙が...