私が里子と出合ったのは大学2年の時だった。
当時、ロクに活動していない部に所属し、その場が楽しければそれでよく酒とタバコとぬるま湯の生活だった。
部室という名の溜まり場で、金のない私は大概仲間と共にいりびたっていた。
対面のドアには山岳部という看板が見える。
あるとき、いつものように部室でタバコ...
私が里子と出合ったのは大学2年の時だった。
当時、ロクに活動していない部に所属し、その場が楽しければそれでよく酒とタバコとぬるま湯の生活だった。
部室という名の溜まり場で、金のない私は大概仲間と共にいりびたっていた。
対面のドアには山岳部という看板が見える。
あるとき、いつものように部室でタバコ...
『明日から10月だから、別れましょう。じゃあね♪』
と、彼女は颯爽と駅に向かって行った。
現在、9月30日、午後9時ちょっと過ぎ。
最近、デートどころか電話すらあまり繋がらない状態だったので危ないなとは思っていたんだ。
だから今日は結構奮発したつもりだったのに、ここでお別れって、そりゃないよ。
...
休日だというのに朝から雨が降っている。
静かな雨だ。のんびりとすごそう。
こんな休日も悪くない。
『あー!雨が降ってるぅー。修平どうしよう!』
ドタドタと足ふみならしてこちらに向かってきた。
『やぁ香織にしては早く起きたじゃない?まだ10時前だよ』
『今日は、ちょっと早く起きようと思ったの!それ...
タクヤのバカー。
と大きな声を出して彼のマンションを飛び出してしまった。
勢いに任せてたので、財布をもっていない。
行くあてもなく、歩いていたら公園が見えてきた。
行った事ない公園だったし、もうあたりは夜だったけどしょうがない。
幸い今日は満月で、月明かりで影ができるほどだ。
とりあえず、歩きつ...
娘が結婚することになった。
22歳の花嫁だ。都心の晩婚化が進んでいる中では早い方ではないのだろうか。
結婚を許したのは、花婿の笑顔があの男に似ているからなのかもしれない。
そう、それはまだ私が妻と出会う前のことだ。
その日は、昼飯を取るのが遅れて一人で近場の食堂で食事をした。
偶然、となりの席に...