「シルエットに導かれ」
- カテゴリ: 自作小説
- 2009/08/01 13:30:47
恋に落ちてしまった。決して実らない恋だとは分かってる。
私も子供じゃないの。それくらいは、理解しなくちゃ。
窓の向こうに目をやり、慕う人を思い出す。
嗚呼もう約束の時間だわ。
木の陰に消えた黒いシルエット。
私はそれに引き寄せられて、走り出すの。
靴も履かずに玄関を飛び出す。
人の形のシルエットを追...
日日是悪日
恋に落ちてしまった。決して実らない恋だとは分かってる。
私も子供じゃないの。それくらいは、理解しなくちゃ。
窓の向こうに目をやり、慕う人を思い出す。
嗚呼もう約束の時間だわ。
木の陰に消えた黒いシルエット。
私はそれに引き寄せられて、走り出すの。
靴も履かずに玄関を飛び出す。
人の形のシルエットを追...
これは、あたしが宇宙人と遭遇した時のお話。
よく小さな子供ってさ、夏に暑さ対策として扇風機が姿を現わすようになると、
それに向かって「ああああ」なんて、適当に声を出して「宇宙人みたーい」って笑い合うよね。
八年前の夏のその日も、私は弟の竜弥(りゅうや)とそうやって、ふざけてたの。注意する母が外出中...
「苦っ! 」
湯選で溶かした、銀のボウルに入ったチョコレィトを、千里(ちさと)はつまみ食いしてから顔をしかめた。
「しょうがないでしょ。優太、甘いの苦手なんだから」
これからチョコレィトを流し込む為使う型を流水で洗いながら、私は答える。
今の時期、冷えた水で洗うのはキツイからという理由で流れる...
「ねー、お昼まだー? 」
テーブルに着き、キッチンに目をやり彼女は言う。
語尾をのばす言い方は彼女、綾夏さんの癖。
綾夏さんは僕の恋人で、一年前に付き合い始めた年上の綺麗な女性だ。
朗らかな性格で、根が暗い僕には本当に勿体ないな、と何度も感じる。
仕事で忙しく、なかなか会一緒に過ごす時...
夢は僕で、僕は夢だった。
僕たち2人(?)は一心同体で、信じ続ければいつか夢はかなうと分かち合い、世界中の誰よりも打ち解けていた。
幼い頃の僕の、いつも心の中にあった幾つもの夢。
パイロット、消防士、駅長、サッカー選手、医者、カメラマン……。
それはクルクルと歳を重ねては変わっていったけ...