Nicotto Town



仮想劇場『部屋と血圧とワタシ』


 小さなキッチンに8畳の和室、かろうじて一人分の洗濯物が干せるベランダ。浴室乾燥機付きのユニットバスにTOTOウォシュレット便座。質素なのか豪華なのか。 目の前に大きな公園があるから日中は少し騒々しい。けど夜は夜でこの寒空の下、健気にもべったりと重なり合う熱愛カップルが湧いてしまい、これまたちょっ...

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仮想劇場『悟空の尻尾はなぜ切れた?』


海の底で息を殺したままキラキラと尖る海面を見ていた苦しい顔を見せるわけにはいかないきっと誰かを不安にさせるから
このまま歩いて海の向こうまで行こうこのまま夢心地になって人生の端っこまで
虫眼鏡で見る世界は僕をいつだって巨人にしてくれる
目覚めると僕は大きな背伸びをしていて気が付くと小さな町を尻で踏...

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仮想劇場『台風のヤツめ』


 南からやってきた容赦のない雨風は僕らの町に多大な迷惑をかけて東の彼方へと逃げて行った。  通りに出るとどこかから吹き飛ばされたであろう『Ms.エリーモア』の立て看板が自販機の横で息絶えていた。アスファルトでずたずたに削られたその写真の女性にはもうかわいらしさの欠片もない。ただただ無慈悲であって無...

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仮想劇場『セミと僕と親愛なる人』


 夏も8月後半に入るとどこかそっけなく思える。例えるなら口やかましかった太陽の質がちょっとだけ変わったような感じだ。同時ににセミたちの自己主張も終わりに近づく。 そのことを「少し物悲しいね」と10畳間の女主さんは漏らした。僕は何も答えずただただ押入れの天井を見上げている。
 故郷から街に戻りもう3...

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仮想劇場『セミと僕とミルクセーキ』



 二人が場所を移したのは日暮れ前で、数年前に田舎移住希望で越してきたという中年夫婦が営む旧中学校前の小さな喫茶店だった。店内は割とありきたりな構えで面白みは無かったが、最初に出されたメニュー表に描かれていた女の子の素朴なイラストがよかった。
 僕が頼んだソーダフロートをフジコがガメつく奪い取る。...

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