ユリ01「旅」
(12)
どう見ても、人工的に木が切り倒されていて、太くて長い道が目の前を横断していた。
そしてその半ばほどに、真っ赤な飛行機があった。
多く見積もっても、六人くらいしか乗れないだろう。
道には桜が降り積もっていた。桜の絨毯のようになったこの道の飛行機も、例外ではな...
どうでもいいことを書いています
ユリ01「旅」
(12)
どう見ても、人工的に木が切り倒されていて、太くて長い道が目の前を横断していた。
そしてその半ばほどに、真っ赤な飛行機があった。
多く見積もっても、六人くらいしか乗れないだろう。
道には桜が降り積もっていた。桜の絨毯のようになったこの道の飛行機も、例外ではな...
ユリ01「旅」
(11)
どうやら私が倒れたのは熱が原因らしい。
そのことを、熱ぼったい頭が語っていた。
熱があがってくるような気がする。
あいつは三十分ごとに休んでは、体温計を取り出して渡した。
熱は確実に上がってきていた。
「40度、今日は休むか」
奴が言った。
私は気...
ユリ01「旅」
(10)
固い感触だった。
おきたときに見たのは黒。
黒だった。
あぁ分かったこれは、
誰かにおんぶされてるのだ。
で、 誰?
「わっ」
驚いて身をのけぞらせた。
「わっ」
そいつも驚いたのか前につんのめった。
投げ出された私は地...
ユリ01「旅」
(7)
「これからどうするの」
奴に聞いた。
「待たせてある」
「何を?」
「飛行機だ」
奴はあっさりと言う。私は、長いホームの真ん中当たりで立ち止まった。
「ねぇ」
「何だ」
「チビだね」
「五月蝿い」
自分より頭みっつ分くらい小さい奴をみて、私はに...
ユリ01「旅」
(5)
「いい眺めだな」
奴は言った。わたしはそいつをじっと眺めた。
「そーだね」
電車の中では、あんなにも暑苦しかった奴は、何だかとても弱々しく見えた。
風が吹き付けるその無人駅からは、満開の桜がちらちら降るのが見えた。
しばらくその景色を眺めると、奴はいった。
...