景色が流れていく日々に
- カテゴリ: 小説/詩
- 2011/12/19 00:27:09
わたしの前にあなたはいた
その席にあなたは座っていた
あなたはアイスレモンティーを飲んでいた
それは夏の日
わたしの前にあなたはいない
その席の空間が空しく浮いている
わたしはホットコーヒーを飲んでいる
そんな冬の日
濃い緑色の枝が強い日差しを
遮断してくれた日々は過ぎ去り
いつの間にか葉...
わたしの前にあなたはいた
その席にあなたは座っていた
あなたはアイスレモンティーを飲んでいた
それは夏の日
わたしの前にあなたはいない
その席の空間が空しく浮いている
わたしはホットコーヒーを飲んでいる
そんな冬の日
濃い緑色の枝が強い日差しを
遮断してくれた日々は過ぎ去り
いつの間にか葉...
粘土の花
ほんものの木の枝に
粘土の花をつけた
赤、青、緑
そして黄色
平べったいのに
まん丸なやつ
星型に
三角形
枯れない花
あなたの作った花
にせものの花
匂いのしない花
でも本物の花より綺麗だ
本物の花よりよい香りがする
あなたが作った花
だからわたしは信じる
よい香りが...
冬の海に
波の音が静かな旋律を奏でる
足を止める
砂を両手ですくい上げる
高く差し上げると
指の間から涙が零れ落ちた
あの時に砂が吸い込んだ
わたしの涙なのだろうか
いく筋もいく筋も流れていく
夕日に光りながら流れていく
ふるえる嗚咽を
波の音が消していく
こぼれる涙を
砂がまた吸い込ん...
青空
こっちの青空と
あっちの青空は違う
同じ青空なのに
なんで
こっちの空はあなたで
あっちの空はあなた
こっちの雲はわたしで
あっちの雲はあなた
いつも
同じ空だと思っていたのに
いつの間にか
境目が出来ちゃたね
空はくっ付くのかな
雲は共有できるのかな
わたしは謝らないよ
悪い...
月食
ありましたね!
月のウサギは
暗闇ででモチがつけなくなった
狼男は変身したまま
戻れなくなった
地球で見ていた人は
首が痛くなった
月はこのチャンスを見逃さない
闇に乗じて化粧直しをした
みんなそれぞれが それぞれだ
みんなそれぞれが それぞれだ
時計だけがいつもと同じように
時...