カゴの中には
緑色のたくさんの種
ここは季節の種を蒔く
妖精の倉庫です
今日は春の種を蒔きに行く日
種たちも今か今かと待っています
その中に一つだけ白い種が
あれあれ冬の雪の種が混ざっています
置いてきぼりにされた冬の種
芽が出て花が開くと雪が降ってしまいます
白い種はそんなことを知りませ...
カゴの中には
緑色のたくさんの種
ここは季節の種を蒔く
妖精の倉庫です
今日は春の種を蒔きに行く日
種たちも今か今かと待っています
その中に一つだけ白い種が
あれあれ冬の雪の種が混ざっています
置いてきぼりにされた冬の種
芽が出て花が開くと雪が降ってしまいます
白い種はそんなことを知りませ...
怪獣ガチャコン
何でも食べる
昨日も食べた
たくさん食べた
愛を食べた
恋を食べた
笑った笑った
楽しくなった
だけど急に
涙を流した
悲しみが混ざっていた
愛の中に恋の中に
どうしたの
どうしたの
怪獣ガチャコン
気になった
悲しみだけをもらって
あとは元に戻した
愛が戻り
恋が...
鳥がいなくなった
渡り鳥がいなくなった
春の風が吹く前に
冬の最後の風に乗って飛んで行った
それは傘の花が開く雨の日に
それは春咲く花を見る前に
鳥がいなくなった
渡り鳥がいなくなった
冬の小さな欠片を残して
渡り鳥がいなくなった
河原で遊んでいる白い鳥たちが
いつの間にか消えてしまっ...
陽だまりの中
私は走る
点と点をひらひら飛ぶ蝶でなく
獲物を狙う鷹のようにまっしぐらに
陽射しが私を後押しする
春風が私と競争する
街の中を走る
光の中を走る
横目でショーウインドウを見る
真剣な顔が一緒に走り抜ける
私は走る陽だまりの中
どこまでもどこまでも
やがて
私が風になるまで
...
一人の巡礼者として
老人はいばらの道を歩く
薄暮の道を
遠くにかすむ街の灯りをたよりに
一歩一歩踏みしめる足元に
汗と血がしたたり落ちる
歩め
天使の掲げる灯火は
彼の足元を照らし
福音を知らせるラッパが
迫りくる暗闇に鳴り響く
歩め
愛の杖をいばらに突き刺しながら
平和への祈りを口ず...