今日もわたしは存在してしまった。
謝罪先が見当たらないので、紅茶を淹れた。
ダージリンではなかった、わたしが求めていたものは。
何だったのかは、不明。
鏡と十七分、対峙した。
負けた。
(鏡には目がない。)
雨が降った。
わたしへの雨だけが、わずかに文学的だった。
これを傲慢と呼ぶ...
今日もわたしは存在してしまった。
謝罪先が見当たらないので、紅茶を淹れた。
ダージリンではなかった、わたしが求めていたものは。
何だったのかは、不明。
鏡と十七分、対峙した。
負けた。
(鏡には目がない。)
雨が降った。
わたしへの雨だけが、わずかに文学的だった。
これを傲慢と呼ぶ...
懐かしい匂いっちゅうんはな、
記憶の奥でそっとほどけていくもんや。
目に見えへんのに、ちゃんとここにおるんやで。 雨あがりの土の匂いに、ちっちゃい頃の帰り道が混ざっとる。
ちょっと湿った制服、遠くから呼ぶ声、まだ何も知らんかった未来。 台所から流れてくる出汁の匂いは、時間を巻き戻してまう。
...
このバカチンが、
と あなたは言った。
怒鳴るでもなく
突き放すでもなく
まるで
落とした手袋を拾うみたいに
そっと。
わかってるよ、
と答えた声は
少し震えて
少し笑って
まだ どこにも行けないまま
ここに立っていた。
このバカチンが、
その言葉の奥に
...
揺れは終わった
街はそのまま残っている 何も壊れていないのに
何も守られてもいない 遠くの砂が空を覆って
ここにいる理由もないまま
同じ夜が落ちてくる 誰が決めたわけでもないのに
壊れるものと
残るものが分かれていく 意味はどこにもない それでも朝は来る 選ばれたわけでもないのに
また...
夏の濃い、はじまりの合図。
日差しが濃い、影まで濃い、記憶の輪郭もやけに濃い。 まだ名前も知らない誰かに、少しだけ近づく気配。
それが恋かどうかはわからないけど、
とりあえずこの季節、全部まとめて濃いことにしておく。 蝉の声も濃い、風もぬるくて濃い、
炭酸の抜けたソーダみたいに、時間がやたら...