『Shinunoga E-Wa』はラブソングじゃなかった>< 「
自分の最高の状態とお別れするくらいなら、死ぬほうがマシ」――そんな感覚が込められている気がする。
言い換えれば、 “誰か”との別れよりも、“自分の核”を失うことのほうが耐...
『Shinunoga E-Wa』はラブソングじゃなかった>< 「
自分の最高の状態とお別れするくらいなら、死ぬほうがマシ」――そんな感覚が込められている気がする。
言い換えれば、 “誰か”との別れよりも、“自分の核”を失うことのほうが耐...
スマートフォンは伏せたまま、彼女はソファに身を沈める。紅茶の香りは消えかけていて、代わりに部屋の空気が、少し重くなっていた。
彼の返信はまだ届かない。
けれど、既に彼女の身体は、言葉よりも早く反応していた。喉元に落ちた髪を払う指が、鎖骨のあたりで止まる。その一瞬のためらいに、自分でも気づいている。
...
午後三時、カーテンの隙間から差す光が、肌にゆるやかな影を落とす。テーブルの上、スマートフォンが震え、画面に浮かぶ言葉は短く、しかし熱い。
彼の文体は、まるで指先で首筋を撫でるように、静かに入り込んでくる。
紅茶の香りはもう感じられず、部屋の空気は、彼の気配で満たされていた。
今夜の月は、秋の実りを告げる「コーンムーン」。地球の影に包まれ、赤く染まる皆既月食が重なり、空は静かな神秘に満ちる。ただの天体現象ではなく、季節と記憶が交差する、ひと夜限りの物語。