自作小説倶楽部6月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2025/06/30 21:37:38
『夢の図書館』
二人の男がその図書館を訪れた。前を歩くのはステッキを使う老人でやや猫背気味だった。後ろの青年は老人に歩調を合わせている。「変わらないな。ここだけは時間が止まっているようだ」老人は巨大な書架やわずかな明かり取りの窓を見上げて思わずつぶやいた。「先生の研究の基礎がここで築かれたのだと思う...
『夢の図書館』
二人の男がその図書館を訪れた。前を歩くのはステッキを使う老人でやや猫背気味だった。後ろの青年は老人に歩調を合わせている。「変わらないな。ここだけは時間が止まっているようだ」老人は巨大な書架やわずかな明かり取りの窓を見上げて思わずつぶやいた。「先生の研究の基礎がここで築かれたのだと思う...
『事件の後』
「仕事は終わったはずよ」夫人は一見穏やかな微笑を浮かべて俺に言った。よく見ると瞳の奥に剣呑な光が宿っている。獲物に飛びかかる蛇を連想した。俺は少し息を吐き、用意していた台詞を口にする。「当探偵事務所はアフターケアも万全なんですよ。契約時に説明したでしょう? なに、30分もかかりません。...