僕の手が伸びていって 見たことのない星をそっと捕まえた すると手は緩やかな灰色の坂になり ぼんやりとした義務感に強いられて 僕はその坂を上りはじめた 坂の中ごろで降りてくるあなたに出会った 坂の上に何かあるのかと訊くと 一言あなたは「夢」と言って静かに微笑んだ ...
昔、昔ギリシャにゼウスという神がいました。
その末っ子の名前はヘルメス!
その800代目の子孫が僕ちゃん!
決して嘘八百ではありません。
自由気ままな僕は泥棒や山賊の守り神
僕の手が伸びていって 見たことのない星をそっと捕まえた すると手は緩やかな灰色の坂になり ぼんやりとした義務感に強いられて 僕はその坂を上りはじめた 坂の中ごろで降りてくるあなたに出会った 坂の上に何かあるのかと訊くと 一言あなたは「夢」と言って静かに微笑んだ ...
声をかけられて顔をあげるまで
本に読みふけっているのが学生時代の
僕たちの待ち合わせの流儀だった
一つの本を閉じたら
すぐに次の本に向かわずにはいられない
そんなふうに時間は流れていた
きっとお互いさえも新しい本のように思えていたのかもしれない
小説やちょっと小...
24色の色鉛筆じゃ色が足りないって僕が文句を言うと 君は魔法のように色を作って空を描いた 君の描く空は風が吹き 雲や木々の梢を微かに揺らす 木漏れ日の下でも日差しは鋭く 帽子をかぶりなおして君は微笑んだ 君は名前を付けるのが好きだ 「空からもらった水色の時間と海...
君は向こう岸に立っていた
眼には見えない大きな花束を両腕に抱えて
その花束を振って微笑んでいる見えるよ!
僕は見上げていた空から目を移して
無言で応え
君がいるはずの向こう岸に手を振った
すると君は大きな筆を川に浸し
たっぷりと水を含ませ
真っ青な空に何かを書き始めた!
白く透き通...
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないで下さい
わたしは風
りんごの木と泉のありかを知っている風
わたしを区切らないで
コンマ、ピリオド、いつくかの段落
そしておしまいに「さようなら」が
あったりする...
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