Nicotto Town



自作小説倶楽部10月投稿

『路地裏の出来事』手はず通り取引を終え、酒場を出て歩きだしてすぐ路地からぬっと、腕が伸びてきた。俺の胸元に銀色に光るものが押し当てられる。 おいおい、まじかよ。 俺の仕事には予想外のトラブルは付き物だが、今回は本当に驚いた。 「静かにね。騒ぐと怪我では済まないよ」 夜の始まりのような青に墨を...

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図書カードを落としただけなのだが(後編)

警察署の玄関をくぐると左側にすぐ落とし物窓口があった。図書カードを受け取りに来たことを告げると「少しお待ちください」と言われたので窓口左にあったパイプ椅子に座る。幸い入り口付近でも冷房が効いていた。奥の階段から二人がかりで自転車を運んで来る日系人らしいお兄さんたちを眺めていると右側の扉が開き、図書カ...

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図書カードを落としただけなのだが(前編)

それはまだ酷暑の先が見えない、太陽が眩しすぎる日だった。当然会社ビルから一歩も出ず、休憩スペースでランチを終えて、次の土曜日に自宅近くの市立図書館に本を借りに行こうと考えていた。本を読まないと死ぬ病のため複数の図書カードを持っている。一番利用頻度の高いのが通勤途中の駅図書館なのだが、連日の残業続きの...

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自作小説倶楽部9月投稿

『不思議なロミ』
ロミは不思議な存在です。初めて会ったのは私が祖母に引き取られた時で、ロミは玄関で祖母を待っていました。「今日からこの子はロミの妹よ」と、祖母は私を紹介すると、ロミは金色の瞳で私をじっと見つめました。その様子に、祖母はロミが承知したものと受け取ったようですが、ロミはそっと私の耳に口を...

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