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その夜エレベーターホールで黒のタキシードに身を包んだ梶が勝見議員を迎えていた。
「いらっしゃいませ、勝見様。」
「出迎えご苦労。」
勝見議員の声は特徴がある。通りのいいテノールで演説向きだ。
「お部屋へご案内いたします。」
勝見議員は、うむ、とうなずいてから梶の耳元へ小声で話しかけた。
「あの娘の手...
「梶さんがぴりぴりしてるわ。」興津に変わって給仕をするため、タキシードに身を包み店に下りてきた要を見かけた桜が耳打ちをした。その夜の桜は赤いイブニングドレスにダイヤのチョーカー。髪を大人っぽくアップにしているのでとても10代には見えない。美女揃いの店のコンパニオン達の中でも、桜の美しさは目を引くよう...
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