仮想劇場『否応なしに生きていくでしょ?』
- カテゴリ: 自作小説
- 2021/11/20 10:04:38
「死にたい」と呟いて川面を見つめて、そっと目を閉じ悔し涙を落とした。 川底から伸びる無数の慈悲深い負け組の手に身を委ね、キミは一度だけ空を見上げそのままの姿勢でダイブした。
「なんのために」と僕が言った。「誰の所為で」とも確かに言った。 誰も答えてはくれなかったが不満に届くほど辛辣にもなれない。 ...
「死にたい」と呟いて川面を見つめて、そっと目を閉じ悔し涙を落とした。 川底から伸びる無数の慈悲深い負け組の手に身を委ね、キミは一度だけ空を見上げそのままの姿勢でダイブした。
「なんのために」と僕が言った。「誰の所為で」とも確かに言った。 誰も答えてはくれなかったが不満に届くほど辛辣にもなれない。 ...
「またこんなところに迷い込んで・・・」と彼女が言った。「こんなところだから迷い込んだのさ」と僕は言い訳する。
僕の素顔を覗こうとして、僕に憑りつかれたあの人のことを想うたび真っすぐ歩くことが困難になる。だからこそ出口のない町で死に体のまま彷徨うほうを僕は自ら選ぶのだ。
「そんなの言い訳にもならな...