Nicotto Town



自作小説倶楽部11月投稿(2)

『春を待つ殺人』(後編)
顔に降りかかった温かい液体のぬめる感触に俺は目を開けた。俺が握ったものの先に男の顔が半分見えていた。握った柄の感触から、握っているものが斧の柄だと気付く。たった今、薪割りのために立て掛けてあったものだ。突きだされたものを凶器だと認識していなかったのか男は斧に突進していた。男...

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自作小説倶楽部11月投稿

『春を待つ殺人』(前編)
「おひさしぶり」色あせた防寒着に身を包み、軍手を着けて山小屋を出たところで意外な人物が俺を待ち構えていた。冬山の登山には中途半端な時期に人に会うこと自体まれなのだが、その中でも最悪の相手だ。細い脚を包むブランドもののブーツはとても山に適した履物とは言えないが、彼女の影のよう...

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