自作小説倶楽部3月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2019/03/31 21:40:15
『赤い蝶』
伯父に初めて会ったのは私が二十歳になった一月後でした。私の懇願に対しての返答が「この屋敷で働かせてやろう」でしたから印象は最悪でした。しかし両親が借金を残して他界した天蓋孤独の身では伯父を頼らざるおえませんでした。母が駆け落ちして実家を勘当されたことも弱味でした。母を勘当したのは私の祖...
『赤い蝶』
伯父に初めて会ったのは私が二十歳になった一月後でした。私の懇願に対しての返答が「この屋敷で働かせてやろう」でしたから印象は最悪でした。しかし両親が借金を残して他界した天蓋孤独の身では伯父を頼らざるおえませんでした。母が駆け落ちして実家を勘当されたことも弱味でした。母を勘当したのは私の祖...
『冷たくて美しい、』
私は白い地の中を這うように動く黒い背中を見つめていた。空気が肌を切りそうなほど冷たい。日に日に春の足音が近づいて来ていますと今朝の天気予報で言っていたが除雪した雪が集められた校庭の端で氷雪はまだ固く、溶けることは無い。
ふいに小さな背中が傾ぐ。足を滑らせたのだ。少年は無...
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