自作小説倶楽部7月投稿
- カテゴリ: 自作小説
- 2018/07/31 23:45:28
「夜空を歩く」
その人は母の従妹に当たる女性だったそうです。
最初にその人を見たのは私が何歳の頃かは覚えていません。毎年、お盆に母の祖父母の家を訪れると、ああ、またいるな。と彼女の姿を目に留めたものです。
彼女は蔵の脇の日陰に立っていました。昔...
「夜空を歩く」
その人は母の従妹に当たる女性だったそうです。
最初にその人を見たのは私が何歳の頃かは覚えていません。毎年、お盆に母の祖父母の家を訪れると、ああ、またいるな。と彼女の姿を目に留めたものです。
彼女は蔵の脇の日陰に立っていました。昔...
『姉の恋』
「彼と別れるわ」
姉は予想通りの言葉を吐いた。意味もなく細い指でストローの曲がり角をつまんでアイスコーヒーの氷を一回転させる。
これで何度目のことだろう。僕は内心ため息をついた。
大きな瞳がふたつ、卵型の顔の中できらりと輝く。少しカールした栗色の髪に染み一つない肌、服装はゆっ...
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