夜霧の中へ帰っていった信太盛太郎がテレビニュースで報道されていた溺死人物なのかどうか、美佐は判断に迷っていた。可能性があるかもしれないという不安もあるが、最悪のケースは想定したくなかった。結局、雪枝に余計な心配をかけることになっても、よくないので不確定なことを話題にするべきではないと、美佐は結論付...
夜霧の中へ帰っていった信太盛太郎がテレビニュースで報道されていた溺死人物なのかどうか、美佐は判断に迷っていた。可能性があるかもしれないという不安もあるが、最悪のケースは想定したくなかった。結局、雪枝に余計な心配をかけることになっても、よくないので不確定なことを話題にするべきではないと、美佐は結論付...
病室に、そっと入ると雪枝は窓に向かって立っていた。高台にある港総合病院からの見晴らしはよかった。港町の風景を見ているだけで気分転換になった。岸壁に係留されている外国籍の貨物船が荷揚げ作業をしていたが、人の姿が昆虫のように小さく見えた。
「起きていて、大丈夫なのですか。」
「痛み止めが効いているのか...
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