Nicotto Town


金田正太郎


「風の又三郎 1941」#2-11

 穴の中は二人の体が発する熱で湿度も温度も上がっていた。 「暑いな」 「寒いよりましか」  哲也は雨が上がれば、誰か探しに来るだろうと座り込んだ。 「清も座れ、体力を温存するんや」  哲也より小さい清は穴の底に座り足を伸ばした。足先が土の中に少し入った。何か固い物に当たった。 「あれ、こ...

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「風の又三郎 1941」#2-10

 製材所に来たのは、運転手を除いて逓信省の役人と陸軍少佐の二人だった。逓信省の役人は運転手から渡された傘をさして足早に宿舎に入ったが、少佐はいかにも軍人らしく、雨が降っているのにクルマから降りても悠然と歩いて宿舎に入って来た。三郎は海軍にいる伯父から習った正しい敬礼で迎えた。少佐もそれに敬礼で応えて...

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アルハンブラの思い出・・・って



 二人は、腕を組んで鋼の部屋まで歩いて行った。ここでは、二人のことを誰も知らない。鋼の部屋に着いた沙桐は、荷物の中から白いキルトを取り出しカーテンレールに掛けた。雪の反射光に真っ白なアルハンブラ宮殿が浮かび上がった。鋼は、沙桐の肩を抱いてじっとそれを見つめた。「部屋が暖まるまで、こうし...

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