目が覚めた、雨が降り出してた。滴は球くなって窓硝子をつたい落ちる。バス停の前にはマックがある、制服を着た女子学生が花模様の傘をひらいた。一足先に雨に煙る町中に花が咲く。朝食代わりのコーンスープの底にれんげがあたる、少なくなったスープを透かして風景が見えた。
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
目が覚めた、雨が降り出してた。滴は球くなって窓硝子をつたい落ちる。バス停の前にはマックがある、制服を着た女子学生が花模様の傘をひらいた。一足先に雨に煙る町中に花が咲く。朝食代わりのコーンスープの底にれんげがあたる、少なくなったスープを透かして風景が見えた。
実家に戻ってきてから、生活のリズムが変わった。実家を出てからはどんな生き物とも同居していない、以前はラブラドールのナナがいた。まさに相棒でした、どんな時も一緒で頭のいいやつでした。冬の陽が射し込む茶の間にはナナの写真ががある、微笑んでいるような顔がこちらを見ている。
耳を澄ましてみると、かすかに鳥の声が聞こえる。外は心地よい日差しが散歩気分をそそるから、いつものパン屋さんにおでかけ。昼のぶんもとクリームパンとコーヒー牛乳を買う、パンを包むクラフト紙のつぎにロウ紙が出てくる。ロウ紙が陽にゆらぎ、私の膝にぼんやりとした光の輪ができた。薄日に変わった、地面の小石の影が...
時はもうすっかり夕方、おもむろに草一がつけてくれたチャイムがなる。こんな時間に来客は珍しい、扉を開けるとそこにはドリトル先生のような服を着た、見覚えのない紳士がいた。どうしてドリトル先生の服かというと、それまでその本を読んでいて頭の中にボタンという文字が残っていたからだ。物語にもよるのだがドリトル先...
自分以外のものを愛することは、結局、自分自身を知ることに他ならない。自分自身を知ってもなお、他者の不在を痛感するのなら、その者こそが自分にとって必要な他者。自分の欠けた一部であろう。