ガラス越しに雨粒がノックする、夕方から雨になり街も泣いているようだ。雨が降ると途端に元気になるあなたは、あまり人の前では弱さを見せない。私が元気がない時には、前に立ち何も言わずにギュッとしてくれる。暗く沈んだ心は、すぐに立ち直った。波まで続く私の涙を追いかけてきて、明るく訪ねてくれる。今宵の雨はとて...
✪マークはメルヘン・ファンタジー・人間模様の小話でし
ガラス越しに雨粒がノックする、夕方から雨になり街も泣いているようだ。雨が降ると途端に元気になるあなたは、あまり人の前では弱さを見せない。私が元気がない時には、前に立ち何も言わずにギュッとしてくれる。暗く沈んだ心は、すぐに立ち直った。波まで続く私の涙を追いかけてきて、明るく訪ねてくれる。今宵の雨はとて...
私が足しげく通う店は、まわりが林に囲まれた静かな佇まいの中にある。近代的なビル街を通り抜けて林の中、一転して古めかしい風景が広がる。同じ造りの木造平屋建てが並んでいる、未舗装の路地には自転車の轍が幾筋もついている。店の隣にはパン屋がある、店先にはベンチをおき軒に小豆色の暖簾がかけてある。私はここに来...
この上なくは感動しているといった顔をした一瞬後、絶望しきった少年のような顔にまたもどる。その一瞬の間に起こった変化は、猛スピードの心の中の旅です。
草一の実家は呉服屋である、それなりの老舗なのだ。忙しい日に何度か手伝いをさせてもらった事から、今でも仕入れた反物があふれている時はお呼びがかかる。そして今日も、結構手間取ってしまい夕方である。天気はいいのに底冷えのする日だ、こんな日は決まってミルク・セピアがでてくる。期待もしているのだけど、期待通り...