どこかに忘れてきてしまった
読みかけの本
拾った方は
続きを読んでくれるでしょうか
悲しさの続きを
苦しさの続きを
涙の跡が付いている
栞は挟んだまま
そっと
本を開いてくれませんか
終わりまでのあと数ぺージを
読んでくれませんか
そして
そっと
涙を流してくれませんか
今、本を...
どこかに忘れてきてしまった
読みかけの本
拾った方は
続きを読んでくれるでしょうか
悲しさの続きを
苦しさの続きを
涙の跡が付いている
栞は挟んだまま
そっと
本を開いてくれませんか
終わりまでのあと数ぺージを
読んでくれませんか
そして
そっと
涙を流してくれませんか
今、本を...
バッタがピョン
ピョンピョンピョン
草むらでピョン
ピョンピョンピョン
母さんバッタに
父さんバッタ
兄さんバッタに
妹バッタ
みんな仲良く
ピョンピョンピョン
暑くないのか
ジャンプして
四方八方
飛び回る
何かあったら
草の下
そっと隠れる
草の下
じっと黙って
涼んでる
や...
夏
赤い夏
心の中に
日差しがあまりに強く入り込んだので
愛が焦げ付いてしまった
あなたの日焼けした横顔はいつも笑っていたけれど
さよならと言った口もとは
夏の最後の悲しげな香りがした
秋
白い秋
やさしい光に
思い出が映し出される
愛が静かにそよいでいる
今日まで立ち去ることのなかった...
冷蔵庫にスイカが一切れ入っている
スイカの種は
黒い種
赤いスイカに
黒い種
黄色いスイカに
黒い種
いくつもいくつも
入ってる
一つ一つに
名前が付いてるのかな
種子さん
幸せですか
赤い世界の黒い種
黄色い世界の黒い種
冷えてますね
寒くないですか
夏風邪に注意
ハクションし...
車窓をぼんやりと見ていた
闇の中をいくつもいくつも
光の点が流れていく
その中に光る蝶をを見た
それは後ろへと流れることなく
電車と同じ速度でで飛び続けていた
そう窓ガラスに映る蝶は
吊革に揺れているあなたの姿だ
二人飛んでいく暗闇の中
今は時速90キロ
このまま止まらないで
もっと速度...