もうひとつの夏へ 【8】
- カテゴリ: アルバイト
- 2011/08/31 20:09:21
雪美は無言だった。
僕も無言。
何かを話しかけられそうな雰囲気ではなかった。
半分ほどまで来ただろうか、その時頭上より冷たいものが降りてきた。
どうやら本格的に一降り来そうな感じがした。
どうする? そんな顔で雪美の顔を横から見つめた。
しかし雪美はそれに気づく素振りもなく走り出していた...
雪美は無言だった。
僕も無言。
何かを話しかけられそうな雰囲気ではなかった。
半分ほどまで来ただろうか、その時頭上より冷たいものが降りてきた。
どうやら本格的に一降り来そうな感じがした。
どうする? そんな顔で雪美の顔を横から見つめた。
しかし雪美はそれに気づく素振りもなく走り出していた...
「痛っ!」
リビングから女性の声が聞こえた。
そして、また僕の元へ飛んで帰ってきたキーホルダー…。
え?
エーーーーーーーーーーーー???
慌てて上がろうとして、もつれて転んだ。
靴を脱ぐのももどかしく、そのまま土足で上がってしまった。
こちらに背を向けてい...
子供たちのにぎやかな声と
母親たちの冷たい視線に押し出されるように公園を後にした。
(これからどうしたらいいんだ?)
そもそもこれは何なのだろうか?
夢? それにしてはリアルすぎる。
現実? こんな馬鹿げた現実があるはずがない。
……どっちでもいいか。
とり...
2人は宙に舞った。
そして雪美を抱きかかえるようにして、左肩から地面に叩きつけられた。
衝撃を防ごうと、手を後ろへ伸ばそうとも考えたが
結局雪美の保護を優先してしまった。
「痛ぅ…」
激痛のあまり、のたうちまわり仰向けに転がった。
(もしかしたら、ヒビくらいは入ったかもな)...
8月31日だというのに、駅はやけに混んでいた。
(あの時、こんなに混んでいたっけ?)
8年前を思い出そうとしたが、まったく思い出すことは出来なかった。
淡い光が構内を照らし、行き交う人を照らしている。
壁には、いくつもの広告が埋め込まれていて、その中から女優が微笑みかけていた。
(この女優...
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