Nicotto Town



もうひとつの夏へ 【8】

雪美は無言だった。

僕も無言。

何かを話しかけられそうな雰囲気ではなかった。

半分ほどまで来ただろうか、その時頭上より冷たいものが降りてきた。

どうやら本格的に一降り来そうな感じがした。

どうする? そんな顔で雪美の顔を横から見つめた。

しかし雪美はそれに気づく素振りもなく走り出していた...

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もうひとつの夏へ 【7】

「痛っ!」

リビングから女性の声が聞こえた。

そして、また僕の元へ飛んで帰ってきたキーホルダー…。




え?



エーーーーーーーーーーーー???



慌てて上がろうとして、もつれて転んだ。

靴を脱ぐのももどかしく、そのまま土足で上がってしまった。

こちらに背を向けてい...

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もうひとつの夏へ 【6】

子供たちのにぎやかな声と

母親たちの冷たい視線に押し出されるように公園を後にした。

(これからどうしたらいいんだ?)

そもそもこれは何なのだろうか?

夢? それにしてはリアルすぎる。

現実? こんな馬鹿げた現実があるはずがない。

……どっちでもいいか。

とり...

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もうひとつの夏へ 【5】

2人は宙に舞った。

そして雪美を抱きかかえるようにして、左肩から地面に叩きつけられた。

衝撃を防ごうと、手を後ろへ伸ばそうとも考えたが

結局雪美の保護を優先してしまった。

「痛ぅ…」

激痛のあまり、のたうちまわり仰向けに転がった。

(もしかしたら、ヒビくらいは入ったかもな)...

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もうひとつの夏へ 【4】

8月31日だというのに、駅はやけに混んでいた。

(あの時、こんなに混んでいたっけ?)

8年前を思い出そうとしたが、まったく思い出すことは出来なかった。

淡い光が構内を照らし、行き交う人を照らしている。

壁には、いくつもの広告が埋め込まれていて、その中から女優が微笑みかけていた。

(この女優...

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