■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫…(26)
- カテゴリ: その他
- 2010/08/06 00:01:22
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(6)
ラスキンは彼れを罵つて、繪具皿を公衆の面前に投げ出し、それを畫と呼ぶものだと言つた。負けてゐないホヰツスラーは之れを、名譽毀損として法廷に訴へ、勝訴となつて一ファーシクグ即ち一錢の損害賠償を受けると共に破産した。續いてラファーエル前派の勇將で...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(6)
ラスキンは彼れを罵つて、繪具皿を公衆の面前に投げ出し、それを畫と呼ぶものだと言つた。負けてゐないホヰツスラーは之れを、名譽毀損として法廷に訴へ、勝訴となつて一ファーシクグ即ち一錢の損害賠償を受けると共に破産した。續いてラファーエル前派の勇將で...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(5)
ホヰツスラーの自然に之く立場と、併せて其の畫面の趣が此の文で窺はれる。彼れの風景畫は、夢のやうな夜の調子を現はすに最も妙を得て、全幅たゞ蒼や灰の一色の裡に、影のやうに黒い丘や建物の輪廓が浮ぶ、黄いろい燈火が三點五點、覺束ない脈搏のやうに調子を...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(4)
やがて夕暮の靄がヴェールのやうに詩で以て川岸を包んで了ふと、見すぼらしい建物はひとりでに薄暗い空に消え込んで、高い烟突がイタリー風の鐘樓になり、貨物庫はそのまゝ夜の宮殿で、町全體が天空に懸り、神仙郷が我等の前に見はれて來る。旅人は家へと急ぐ...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(3)
例へば始めに言つたマクコール氏の『十九世紀美術』が一篇の骨子とする觀察は、シモンズ氏の言つてゐる如く、自然の感じ(Sentiment)が其のまゝ藝術に這入つて來たのを十九世紀の特色とする點に存する、即ち藝術家の節奏(Rythm)でなく自然その...
■近代文藝之研究|研究|歐洲近代の繪畫を論ず 五(2)
啻に繪畫のみでなく、あらゆる近代の文藝には此の意味がある。夫の文學に於ける自然主義以後の傾向も亦た是れに外ならない。底の知れた人工や理想に行止まることを嫌つて、一飜して耳開目觀の現實からすぐ人工以上、理想以上の自然の眞に連續しやうとするのが彼...