■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(18)
- カテゴリ: その他
- 2009/04/17 13:22:32
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|五 (1)
五
生の哲理を終るに臨み、初に立ちかへつて、生の増進とは何であるかといふことを一言して置く必要がある。生の内容は、之れを客觀にしては、やがて天地間の現象がそれであり、之れを主觀にしては、此等の現象に應酬する...
島村抱月・著『近代文藝之研究』のテキスト・データ化ブログ。2014年02月に全文のデータ化終了。只今入力ミス等の校正進行中。
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|五 (1)
五
生の哲理を終るに臨み、初に立ちかへつて、生の増進とは何であるかといふことを一言して置く必要がある。生の内容は、之れを客觀にしては、やがて天地間の現象がそれであり、之れを主觀にしては、此等の現象に應酬する...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (7)
之れを總括するに、道徳も宗教も第一境は生の無限といふ要望である、我等は之れにあらゆる權威と意義とを捧げねばならぬ。第二境は之れに達する方便といふ功利現象である、我等は之れを方便と意識せずして工風する。第三境は更に之れが進化し釧練...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (6)
宗教はすなはち道徳が如何ともなし得ざる他の一面、生の無限の永續といふ要望と有限といふ事實との矛盾を解決することを主とした一種の精神状態を形成せんとするものである。生の有限といふ現在の事實は人力で如何ともしがたいが故に、無限の永續...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (5)
されば道徳は賢明といふことの變態であらう。生を比較的永續せしむるに最も賢なる方法が、即ち最も善なる方法であつたのが、進化の結果、移つて價値の感を犠牲その事の上に認めるに至つたのであらう。夫の義務のため、名譽のため、熱愛のため、絶...
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|上 生の哲理|四 (4)
道徳とは此の無限と有限との矛盾を調攝せんがために、無限をして讓歩せしむるの謂ひである。生の要望を適度の所、中庸の所に留まらしめんとする消極的解決法である。中にも生の増進から來る矛盾に於いて道徳の立場を認める。外圍との矛盾を解くた...