イングロリアス・バスターズ
- カテゴリ:映画
- 2009/12/22 23:02:44
今年44作目の映画舘鑑賞。
クエンティン・タランティーノ監督のエンターテイメント戦争映画。
とても面白かったです。
美しくてかっこいいブラッド・ピットを見たい人には向いていない映画です。
舞台は、第二次世界大戦、ナチスドイツ占領下のフランス。
メラニー・ロランが演じる隠れユダヤ人の若く美しい女映画館主ミミューの復讐劇を軸に、
彼女の家族を惨殺させた数カ国語を流暢に操りユダヤ・ハンターの異名を持つ
クリストフ・ヴァルツ演じるナチスドイツ将校ランダ大佐、
米軍ナチ狩り部隊”イングロリアス・バスターズ”を率いるブラッド・ピット演じるアルド・レイン中尉と
バスターズの面々、ミミューに恋するナチの英雄、二重スパイのドイツ人女優、架空の、
そして実在した人物たちの様々な思惑がミミューの映画舘で開催される「プレミア上映」の夜へと収束し、
タランティーノしかやらない(できない)だろう怒濤の大団円を迎え、最後のオチで締められます。
ストーリー上なくてもいいような意味不明で助長なシーンがダラダラ続くこともなく
いつものタランティーノ的やりすぎ感はやや控えめで、おバカ加減も低めです。
そういう意味では若干ものたりなくもありますが、いい意味で期待を裏切られた感じです。
戦争をちゃかした映画なのかと思っていたら、きちんと戦争と向き合っている映画でした。
こういう風にも戦争映画がつくれるのだという驚きも大きいです。
繰り返される溜めの長ーーーい一触即発のシーンが居心地の悪い緊張感を押し上げ、
いつものしゃべりまくりもストーリーの演出として生かされています。
ただ、やりすぎてるめちゃくちゃストーリーの後味はなんだか悪いです。
エンターテインメント娯楽作であることは間違いないのですが、美しい女映画舘主がナチに復讐を遂げても、
「キル・ビル」や「デス・プルーフinグラインドハウス」のような爽快感はありません。
いつもなら、現実味のない悪趣味でやりすぎなバイオレンスはその場を過ぎればそれまでなのに。
映画が終わってもすっきりしない後を引く居心地の悪さと後味の悪さこそが、
反戦争、反暴力に対するタランティーノの姿勢のように思います。
戦争が終わって軍服を脱いだからといって、終わりじゃない。
5章立ての各章のタッチを微妙に変えていたり、
各所に見られる細かいコダワリの演出もとても楽しかったです。
タランティーノの選曲はいつも好きなんですが、
今作はクライマックスで流れるデヴィッド・ボウイの歌がとくに印象的でよかったです。
上映終了日の滑り込みでした。間に合ってよかったです。
もし行けなかったら泣いてました。タランティーノの映画は”映画舘”で観ないと!
★★★★☆【Inglourious Basterds】2009アメリカ
こう言う映画はタランティーノじゃなきゃ撮れないよなー
と思える映画でしたね^^
まあ、万人ウケはしないですねどねー。
>kerosanさま 基本、映画は映画館で観たいので、行ける時は行ってます~。
タランティーノ映画はじめて見ました。
じつは戦争映画はあまり見たことがありません。
確かに娯楽的要素があると思いますし、愉快になりきれない&爽快感がないのは右に同じであります。
曲については個人的には西部劇風な曲かなっと思いました。
>もし行けなかったら泣いてました。タランティーノの映画は”映画舘”で観ないと!
ながつきさんをして、こういわしめるとはすごい。。。
>今年44作目の映画舘鑑賞。
いままでスルーしてましたが、ちょっと半端な数ではありませんね。。。。
ちょっと前に好きなライターさんが
「評判がいまいちなのもわかるが、すごい。もっとお行儀良くしてしまう。
あと10年経ったら自分に書けるかというと、無理」
と褒めていたのを偶然見て興味倍増、ながつきさんの評を見て凄く見たくなりました。
上映いつまでだろう。見に行けるかな〜