以前書いた物語「いんこな日々」サイドストーリー
- カテゴリ:自作小説
- 2009/12/20 01:07:13
「シークレット・クリスマス」-その2-
「いいなぁ 私もいんこになってしまいたいよ…」
いいなぁって何が?売れ残ってるつらさも見せず、店の顔として愛想振りまいて毎日すごしている何がうらやましいの?知りもしないくせに!世界中で、自分だけがかわいそうみたいな顔して、今だって自由に歩き回ってここに来たくせに?ばかにするんじゃないわよ、いんこ知らないで勝手なこというな!いんこになりたいって?ちょうどいいわ、いんこになればいいのよ。もう魂が空に飛び出すから、代わりにこいつに私のからだの留守番させてやろう。
「いいわよ、私のからだかしてあげる」
私は彼女にそうつぶやいた。
「え?」
理解できないでいる彼女。でも、もう私の魂は私のからだを離れ、今にも上昇しそうになっていたので、彼女の魂を彼女のからだからむぎゅっととりだし、そのまま自分のいんこのからだに乱暴に押し込んだ。それと同時に私の魂は夜空に高く舞い上がって行った。
飛びながら、しかしどうも落ち着かない。他の生き物の魂を自分のからだに押し込むっていうのは、けっこう感触が不気味だった。初めての体験だから、そう感じたのだろうか。
友達いんこの魂に出会い、再会を喜びつつも、どこか心ここにあらずだ。
「何かあったの?」
とクリスマスにだけ会える友人いんこが、尋ねてくる始末。
「え?いやいや、何でもないよ」
説明したらきっと、こごとが飛んでくること間違いなしだ。せっかくの楽しいひと時をこごとでつぶしたくはなかった。
「さ、今夜もゆきずりの恋に一花咲かせるわよ、早くナンパツリー(いんこ達が勝手に付けた通称)に行こうよ」
やる気満々の友人いんこのテンションに促されて、私達の魂は更に空高く舞い踊っていった。もう自分のからだのことは忘れよう。今晩だけは魂の宴の日なのだから。
結局彼氏は見つからずじまいで、これはいんこ界ではツリーの羽飾りと呼ばれる状態のままだったものの、それでも楽しい一晩だった。今までのなかで一番テンション高かったかもしれない。テンションを高くしなきゃ、人間の魂を自分のからだに押し込んだことを、考えずにいられなかったから。
「んじゃ、また来年」
友人いんこに別れを告げる。
「来年はいい飼い主さんとこから遊びに来ること祈ってるから!」
と友人いんこ。大きなお世話だと叫びながら別れた。魂が自分のからだのあるショップめがけて急降下を始めた。自分だけになると、不安が波のように押し寄せた。早く戻って自分のからだに入らないと!
(つづく)
続きをさっそく
いんこ視点だとわかっていても、すごく共感できます…不思議ですね(^^)さすがぼうぼうさんです✿
体調はいかがでしょうか?どうぞお大事になさってくださいませ!!
でも、出来そうなきがするなぁ。。。 インコも人間のような 感情をもつのね^^
今度は本物のインコ目線なのですね♡
続きがまたまた楽しみです!
風邪を引かれてるようなので、暖かくしてお大事にしてくださいね^^
年末は何かと忙しいから………あまり無理をせず、早く完全復活できるといいですね☆