Nicotto Town



草千里09の写真を見て

 寄せ書きの中に、「オレ生きてる?」との文字が読める。
 誰が書いたのかはもちろん知らない。
 書いた本人だって、数年後には忘れてしまうかもしれない。
 が、草千里09写真集を開くたび、鮮やかにその一文字ずつを思い出すであろう。
 2009年8月30日、そしてその前後の日々。

 単車ってものは、実に不自由なものだ。
 なにしろ、自分で乗らなくちゃならない。ペダルを踏んづけて、機械の音声に従ってハンドル回せばたどり着くってもんじゃない。

 そこに行く。

 その目的を果たすために走り出した直後から、風と闘い、雨を恐れて、疲労をこらえて1メートルずつ進ませる。気を抜いたら、他車にぶつける、自転車をひっかける、自ら転ぶ。一瞬だって緊張を緩めちゃいけない。
「単車に乗っているときは、生きてると実感できるんだ」
けっしてオーバーな表現じゃない。

 寄せ書きを書いた人も、書かなかった人も、草千里09に来た人は、みんな生きてた。
 みんな、自分の単車を1メートルずつ進ませてやってきた。

 まだ明けきらない暗闇の中を本当に自分を待っている人がいるのか疑いながら来た人も、容赦ない残暑の陽の下を行列の中で単車を押した人も、彼の背中にしがみついていただけなのにいつの間にかすれ違う単車に手を振るようになった人も、みんな生きてた。

 いま時点で、あの日から3ヶ月が経った。
 どうだろう、行ってよかったんじゃないか?

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