以前書いた物語 いんこな日々-第13章-(後編)
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/11/20 00:03:06
13章 世話焼きいんこ(後編)
チビと私の厳しい訓練が始まった。すっかり成鳥になったいんこが最初から挑戦するのは つらかったに違いない。が、チビは一生懸命件頑張った、と思う。
飼い主が二人とも部屋に居ない時間 私は自分のかごを抜け出すと三兄弟のかごに入って行って チビにびっちり指導し、また放鳥時間になると チビを引きつれて 彼氏さんの肩に二羽でべったりのっかって過ごすことが多くなった。彼氏さんの近くにいることが 作戦決行のための訓練上必要不可欠だったからだ。
そして ある日。
放鳥時間 私とチビは いつものように彼氏さんの肩に飛びついた。彼氏さんが 飼い主に話し掛けた。
「最近 りょうちゃんといっしょに チビも肩にのってくれるようになったんだよな、どうしたのかな?」
「カップルになったのかな?色恋沙汰がまったくなかったりょうちゃんにも とうとう春がきたのかな?」
飼い主が頭をかしげてニコッと微笑んだ。飼い主彼女のボケっぷりに脱力しそうになる。
「春…」
ボソリと彼氏さんがつぶやいた、その口調が変で脱力していた私に一瞬で緊張がはしり、サッと顔を上げた。ちょうど目の前にあった喉ぼとけが ゴクリと鳴った。もしかして、その時が来たということか?私はチビに目配せした。
(スタンバイして!)(了解!)
「春といえば、さ」
「うん?」
飼い主が彼氏さんに顔を向けた。途端に彼氏さんは 視線をそらしてしまった。ちっ!やっぱり心配した通りだよ!作戦決行だ。
「春といえば 花見…花見だ」
「う、うん?それで?」
「それでって…えっと…僕の故郷は 桜の名所なんだ」
微妙にちぐはぐした空気が 二人の間をただよい始めた。私はチビにゴーサインを出した。小さくうなずき一呼吸置いて
「ケッコン シテクレ シテクレ ケッコン!」
チビは 彼氏さんの声そっくりで わめき始めた。チビの突然のおしゃべりに 二人はびっくりしてチビを見た。
「プロポーズ イツカナ イツカナ イツカナ」
畳み掛けるように 私は飼い主の彼女そっくりの声で叫んだ。彼女が 何度何度も口にしたつぶやきだった。
「え?」
「これって…」
あまりのことに 二人は言葉もなく お互いを見つめた。私とチビは 壊れた時計のように ケッコンとプロポーズを繰り返しわめき続けた。
扉は開けたよ。あとはあなた達が歩きだすだけ、なんだよ。二人の沈黙がどれくらい続いたのか 私はわからない。先に口を開いたのは彼氏さんの方だった。
「ほんとに?」
「え…?」
「プロ…プロポーズ待っていてくれてたの?」
飼い主がみるみるうちに顔を真っ赤にして俯いた。
「結婚…してくれる?」
彼氏さんの声は緊張で上ずっていた。
飼い主が俯いたまま小さくうなずいた。
私とチビは 彼氏さんの肩からかごの上に飛び移った。あとは二人で勝手に盛り上ってくれ、って感じだ。
「あなた達 わかっていたの?」
飼い主がつぶやいたが チビはこの作戦の意味なんぞわかってなかったし 私も何のこっちゃとばかり猛烈な勢いで頭をカキカキしフケを散らかし始めた。
彼氏さんが 飼い主の肩をそっと抱いた。二人は 夢か幻でも見てるように 私達いんこを見つめて いつまでもたたずんでいた。
しばらくして二人の結婚が正式に決まった。
(つづく)
ぉお(゚ロ゚屮)屮びっくり
私なぜか脱走の訓練かと思っちゃった(´-ω-`;)ゞポリポリ
おぉっ、おめでとうございますと大声で申し上げたい…!!
可愛いキューピッド、大活躍ですね❤
なんだか私まで嬉しくなってしまいました♪
すごーい 面白いよ~うんうん
りょうちゃん、グリ子とちゅうボ坊だけでなく、飼い主カップルまでもw
かなり優秀な恋のキューピッドですね(´ω`)
次回も楽しみにしてます。
す・・すごい
チビは りょうちゃんのスパルタ教育(?)に耐えたのね(^_^;)
次も楽しみにしてまーす♪
そして ありがとうです^^。
どうか体調崩さないように、無理しないでくださいね。
ほんと感謝しています。
ウルトラセブンとレオみたいな関係ですか?主人公インコとチビ君。へへへ。