以前書いた物語 いんこな日々-第11章-(後編)
- カテゴリ:日記
- 2009/11/16 00:08:21
11章 恋の始まり(後編)
「うん また鳥に会いに来てね」
あっさり飼い主も男を帰すつもりらしい。この二人…どうなってるんじゃ?かすかな疑惑が頭をもたげて来た。
二人は立ちあがると 部屋を出た。玄関から二人の声が聞こえてくる。
「じゃ また」
「うん また電話するね」
そしてすぐにバタンとドアが閉まる音がして 飼い主がニコニコしながら部屋に戻ってきた。
ね、ねぇ もうちょい別れぐらい惜しんだらどうなのよ?キスする間もないじゃん。私がヤキモキしたって始まらんとは思うが 飼い主は それなりに楽しかったのね、こんなんで?問いただすように飼い主を見上げると やっぱりニコニコ満足げである。
そういえば。私は先ほどの男のつぶやきを ふいに思い出した。
『とりあえず一歩前進だ、うん』
とあの男は言っておった。
一歩前進って…んで 一歩前進した結果 あっさり帰ったってことはさ この二人の関係って つまり…。
「あんた達のおかげで あの人 うちに呼べたの。いい人でしょ?好きなの。どうやって気持ち伝えたらいいと思う?」
つまり そういうこと?この二人 まだ互いの気持ち確認していない『つきあう以前のお知り合い状態』ってこと?んじゃ ウキウキして出かけていた今までの期間 あんた達 逢っていたんでしょ?一体何しとったわけ?遊園地とか海に遊びに出かけていたはずだけど ほんとに「遊びに出かけていただけ」ってこと?
今日の目的は ほんとに「いんこに会うだけ」「会わせるだけ」だったってこと?
グラリ…うおっ 眩暈がしてきたよ。知り合ってすぐ付き合って半年で浮気されて別れた身には 信じられないような話であった。世の中 いろんな人がいるものなのね。
…それから二人が本格的につきあうようになったのは 約一年後のことである。
人間の何倍も早く過ぎ去る時間の中で暮らすいんこな身には 人間の一年は数年も待ちくたびれた気分であったよ。ある日 男が 部屋ん中で私らを指差して 飼い主と
「鳥と僕と どっちが大事なんだっ!?」
「どうしてそういう選択をしなきゃならないのっ!」
と喚いてケンカおっ始めたときには 予想していた展開に腹たてる、どころか この二人が ようやくこのレベルのケンカを出来るまでになったものか、と感極まって鼻がムズムズしたものである。
その結果 いんこゆえ涙は出ずに ベックション!ベックション!とくしゃみを連発したらば 驚いた二人がケンカやめてしまったので ほんとうに悔やまれてならなかった。
「りょうちゃん 大丈夫っ!?」
心配してくれるのはありがたかったけど 記念すべきケンカなんだから 心ゆくまでやっちゃって欲しかった、ベックション!
ともあれ無事カップル成立して良かった、良かった。
これで 懸案のいんこ問題にかかりきりになれるってもんである。懸案のいんこ問題は深刻さが増してきておった。かごが、全部で 四つになってしまったのだ。もう この部屋に余裕はない。あいつらが私のかごに侵入してくるのも まさに時間の問題といった緊迫した状況の中 私の必死の防衛戦が続いておったのだ。
私の闘いぶりについては また次回 話そうと思う。
(つづく)
インコってくしゃみするんですね(;゚д゚)
今まで鳥を飼った事がないので新鮮ですw
喧嘩するほど仲が良いって言うもんね
一年…長かったですね(^^;)
登場人(鳥)物の中で誰より冷静で人間らしい主人公、りょうちゃんの進行っぷりがすごく面白いです❤
作品を読ませていただくようになってから街で見かける鳥たちが、
ひょっとして私をものすごくクールに眺めているのかも…とついつい思ってしまいます(笑)。
いんこ問題!あらたな予告編、楽しいです。
心配しちゃったよ
でも、りょうちゃんはいろいろと心配が多くて大変ね