以前書いた物語 いんこな日々-第8章-(後編)
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/11/10 00:16:26
8章 夜中の頬ずり(後編)
飼い主は 私に頬ずりしながらしゃべっていたから 私がうなだれているのに気がついて
「いっしょに悲しんでくれるなんて 優しいね」
と勘違いされたので ますます身が縮む思いにかられて
「きゅ~~」
と身をよじったのが それがまた彼女の心にぐっときたようで。
「りょうちゃんがいてくれて 良かった」
彼女がつぶやいた。
ほんと?ほんとに?勘違いでも何でもいいや、彼女が少しでもは元気が出てきたのなら。それなら 私も少しは救われる。
もうちょい 飼い主とこのしみじみした時間を共有したかったのだけど そろそろ 邪魔が入りそうだ、と思ったちょうどその時 ゆっておくがあれは単に ノビかなにかした拍子でしかない、と思うが オカメ女のグレ子が
「きゅ~~~~っ」
と鳴いたもんだから 飼い主は私をかごに戻すと
「グレ子も なぐさめれくれるの?」
と言うと 今度はグレ子で頬ずりを始めたようである。
ちぇっ、そうなんだよなぁ~~~、オカメの方がサイズ的に大きい分 掴み応えも頬ずりのしがいもあるものなぁ、セキセイってさ 小さいから 飼い主的に取り扱いに気を付けねばならぬ分、こんな時は分が悪くなっちまうよなっ、と私はちょっとだけ すねた気分になった。
でも ちょっとだけ、だよ。今日は 飼い主が元気になってくれれば それでいい。
いつもボケッとしてるだけのオカメ女も たまには役立ってよかったじゃん、ま せいぜい頑張ってくれ。
今日はこのまま 部屋の明かりはつかないような気がしたので 暗がりのかごの中で 私は人間だった時のバイト先でのことを考え直していた。まわりの人々への気遣いが 私には足りなかったのだ。私なりに一生懸命だったけど それは言い訳にはならないのだ。現に目の前に同じような境遇で泣いている人がいるんだから。ごめんね、バイト先で怒ってしまった新人さん達…心の中でそっとあやまりながら 私はいつのまにか眠りについた。
グレ子がそれから どれくらい 飼い主に付き合ったのか 私はわからないが 朝 元気に飼い主が 部屋を飛び出した後 グレ子は大アクビを連発しておった。
「グレ子、疲れたでしょう?昼寝でもして ゆっくりするといいよ」
と いつになく感謝とねぎらいの言葉をかけたら、予想外だったらしくて(ま いつもは目が合えば 追っかけまわして どついてるから しょうがないかね?)
「び、びょ??」
と目を見開いて 理解の範疇は超えたように固まってしまった。
話は変るけど。飼い主って私達いんこに 自己紹介してくれないのね。おかげで 私 自分の飼い主の名前 いまだにわからないんだけど。飼い主は 私に名前をいつ教えてくれるのかしらね?
(つづく)
少しやきもちやいてるとこがあるのが可愛いなぁ~
次読んじゃおっと
ちょっとクールないんこちゃんがたまらなく可愛いですね❤
人間同士のように話せなくても、そばにいてくれる存在ってありがたいですよね…!
いえ、話せないからこそもっと違うところで通じ合える部分があるような気もします。
ひょんなことから関わりあっていく登場人物(いんこ)たちがどう変化していくのか、
また変わらず存在し続けるものはどんなものなのか、とても楽しみです(^^)
ペットに自己紹介しないといけないかな やっぱ あはw