以前書いた物語 いんこな日々-第7章-
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/11/08 00:12:58
7章 記憶と恨みと復讐と
いんこなってから思うことは 時間の流れがとても早いということだ。
セキセイの寿命は 十年とも二十年とも言われているけれど、平均年齢が七十とか八十なんていう人間から比較すればはるかに 数倍駆け足で一生を過ごすのだ。
飼い主は朝出かけて夜帰ってきて 半日ぶりのつもりなんだろうが いんこ的には2,3日ぶりの感覚なのである。
ということから考えるに 以前 いんこ飼っていた時、旅行で知人にいんこを預け 二週間後戻ってきた私が完璧に いんこ達に忘れ去られておったのは いたしかたないことだったのね。
「おまえらって ほんっとアホなのねぇ」
私と対面して 恐怖の面持ちでかごの側面にへばりついたいんこ達に がっくし肩を落としたけど ごめんね、忘れて当然の期間だったのね。
とまぁ こんなふうに思うのは 私が人間といんこを両方経験したから感じることなので 他のいんこにとっては ごくごく普通の感覚なんだろう。
話は変わるが 私は ついに例のセキセイ女「グリ子」と激突した。いんこってのは しっぽが弱点なんである。ちょっと引っ張られると 全身おぞけだつ感覚が走るのだ。鳥が鳥肌たてるってわけさね。しつこく くどいけど、いんこ飼育経験者ですからね、経験で得た知識は、いんこになった今 フルに活用していると思う。
話が逸れてしまった。
とにかく 放鳥タイム グリ子が餌に夢中になって後方、注意がおざなりになった時 私はすかさず 抜け目なく音もなく 彼女の後ろに回りこみ くちばしでそっとグリ子のしっぽをくわえ、そして一気に 彼女のしっぽを引っ張った!
「ぎょええええええええ~~~~~っっっ!!!」
背後にいたので 彼女の形相を鑑賞できないのが非常に心残りであったが 彼女が叫んだ瞬間 食べかけの餌がホロリと落ちてゆくのは見えたので 私は思いっきりほくそえんだ。私がいんこになって初めて 飼い主の肩に乗った日 オカメ女に突き飛ばされて 転げ落ちて、でも 不屈の精神で這い上がっていこうとした私を 飼い主の肩の上から見下ろしやがったあの時のこと、それから その後 私が飛べないと知るや私の頭の上をかすめるように旋廻しては 私を
煽りやがったこと 今 ここでそれらの恨み晴らしてやるんじゃ~~っ!
随分以前のことまで覚えているなんて 不気味だって?それに 飼い主を忘れても仕方ないって話と矛盾しているって??
いやいや 恨みってのは忘れないもんでね。ちなみに 飼い主に置いてぼりにされた、と解釈したいんこは 旅行から帰ってきた飼い主のこと忘れていないでしょ んで 多いにいじけるでしょ?それと同じ。人間も いんこも恨みは 忘れないんだね(笑)。
そうよっ、私をふった元彼氏も 私をクビにしたバイト先の店長も いんこになった今も忘れてなんかいないのよ~~~っ!
一部始終を目撃した飼い主は 一瞬
「なんて恐ろしい…」
と絶句したが ハッと気付いて私を グリ子から、引き剥がすと ガミガミ説教を始めやがった。
飼い主の肩で グリ子はブルブル震えていて
「よしよし 大丈夫だったかい?」
などと 優しく声をかけてもらっていたが あのさぁ、くっさい演技するんじゃないよ、ケガがないようにこっちだって考えてやっとるわいっ!騙される飼い主も、アホくさ~~~、私は説教なんざ馬耳東風とばかり、頭を脚でカキカキして フケをとばしておった。
(つづく)
連載だから感じることがあれば、すごく嬉しいです。
でも、読みづらいとか筋が通らない箇所など
苦情もじゃんじゃん御願いいたします(^^;
なんだかクリスマスの時より元気ですね^^
かあいいのはいんこなのか、主人公なのか。。。
続編楽しみにしてまーす♪
人も動物も共通項なのね(^_^;)
心して かかります(^_^;)
私も恨みは忘れないなぁ~